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ぼくあずさ氏の航空三題に寄せて -6/9 [稲門機械屋倶楽部]

                                        2010-11-10 WME36 村尾鐵男

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V-22 Osprey

SF漫画にしか登場しなかった飛行機がついに実現しました。V-22型機の基本はヘリコプターですが、ヘリコプターと同じように垂直に離陸した後、左右の翼端に垂直に装着したエンジンを水平方向へ向け、ヘリコプターの回転翼をプロペラとして推進力を得るものです。

1950年代にヘリコプターの老舗である Bell社が開発に着手し、1980年代にはボーイング社の傘下に入った大型ヘリコプター専門のヴァートル(Vertol)社との協同開発態勢を構築し、一方でアメリカ軍は陸、海、空、海兵の四軍協同開発機として位置付けて協力し、ようやく実用機として完成しました。

海兵隊の主力ヘリコプターである CH-46型と比較して、ほぼ三倍の搭載量を持ち、エンジンを水平位置にした場合、即ち固定翼機として飛行する場合には、ヘリコプターの二倍にもなる時速550kmで飛行し、空中給油を受けて3,700kmの航続距離を備えます。尚、ヘリコプターの航続距離は、空中給油ができないことにもよりますが、一般的に400km、長くても600kmです。

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このV-22型が沖縄の普天間基地へも配備されるのですが、その開発過程で起こした数々の事故が、アメリカならではの報道の自由が手伝って、既に知らされており、沖縄の地元ではV-22の配備を不安視する声が高くなっています。

開発過程での事故によって犠牲になった方々には気の毒な言い方になりますが、飛行機は開発過程で苦労するほど、実用機としては安全度の高いものとなります。オバマ大統領がイラクの前線を視察するときに、既に配備されていたV-22型に搭乗しておりますから、米軍としてはその安全性に十分な自信を持っていると考えられます。

V-22型の搭載量、速度、航続距離は今までのヘリコプターでは到底比較にならないものであり、現下の東アジア情勢に鑑みて、沖縄の米国海兵隊への配備はその大きな抑止力に着目すれば歓迎されるべきものであり、政府は地元の沖縄世論を説得しなくてはならないでしょう。

CH-46型ヘリコプターは双発エンジンを装備して前後に配した二つの回転翼を駆動しますが、V-22型は直径11.6mの巨大な回転翼を左右に配しております。このとき、左右のエンジンのいずれかが停止すると、通常なら制御不能になりますが、V-22型では左右の回転翼を、主翼を横断するシャフトで結び、どちらかのエンジンが停止しても回転翼、或いはプロペラの回転が止まらぬような設計となっています。又、エンジンを水平にして固定翼機として飛行する場合には、直径が11.6mもあるプロペラが回転することになり、それほどの高い回転数を必要としないので、エンジンの回転数を減らしてプロペラを駆動すると伝えられており、騒音も低くなると期待されます。

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Bell Boeing V-22 Osprey

http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=613490


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村尾鐵男

上記の本文に補足させていただきますが、プロペラはその先端の速度が音速を越えない速度で回転させます。何故なら、音速を越えるときに衝撃によってプロペラやエンジンが破壊される危険性があるからです。
大型機のプロペラでも直径は3.5mほどであり、大きな実例として、YS-11のプロペラ直径が4mでした。
V-22の場合、回転翼をプロペラとして使うと直径が11.6mもあって、通常のプロペラより、回転数を3分の1ほどに減じないと先端速度が音速を越える危険があります。
by 村尾鐵男 (2010-11-21 08:17) 

大嶋邦夫

面白い飛行機ですね。 Youtubeなどで動く画像が見られます。
by 大嶋邦夫 (2010-11-21 08:22) 

ぼくあずさ

村尾さん
大嶋さんよりの情報のありましたビデオのURLを記事の
下部に追加しました。敵をせん滅した後でないと、戦場に
接近するのは危険すぎると感じました。
by ぼくあずさ (2010-11-21 11:04) 

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