航空自衛隊次期主力戦闘機(FX)の選定-2 [稲門機械屋倶楽部]
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欧州製戦闘機の可能性 米国の最新鋭戦闘機F-22型は第5世代戦闘機と呼ばれ、索敵監視レーダーに捕捉され難いステルス性に優れており、1機が200億円を越す高価な機種ではありますが、その有用性には異論がありません。しかし、米国がこれを禁輸対象としたために、又、我が国が独自に開発するには年月を要し過ぎることから、次善の策としての他機種の選定が必要になりました。目下の候補機は三機種、即ち、米国製F-35とFA18E/F、及び欧州主要国が協同で開発するユーロファイター(Euro Fighter)であります。
この三機種の内、航空自衛隊が最も望むのはF-35型戦闘機でありますが、本来なら2013年から米空軍へ納入される製造計画が大幅に遅れ、2015年、或いは2016年になると予測され、我が国へ向けた製造はその後となり、それまでの間、老朽化甚だしいF-4 Phantom機の延命が可能かどうか不安が残ります。
FA18E/F型は現に量産態勢が維持されているFA-18型戦闘攻撃機の近代化改良型であり、価格も妥当であり、納期の問題もないのですが、超音速域での戦闘性能に若干の古さが隠せないと伝えられます。
ユーロファイターは英独伊とスペインによる協同開発機であり、F-35にはBlack Box,
即ち日本側で手を触れることのできない装備品が搭載されていることに対して、ユーロファイターにはこの種の装備がないことを売り込みの利点としています。.
ここにもう一つの難問があります。それは日本に於ける戦闘機生産態勢の維持です。日本に於ける戦闘機の生産は三菱重工業名古屋航空機製作所が概ね主契約者となり、これに川崎重工業各務原工場と富士重工業宇都宮工場が協力し、さらにエンジンは石川島播磨重工業瑞穂工場が担当し、これに多数の装備品製造企業が集まって生産態勢を作り上げております。
F-15型戦闘機の生産が既に終了し、次期戦闘機の生産開始までの間は国産支援戦闘機F-2型の生産で工場の態勢を維持していたのですが、それもほぼ終了に近着いており、次期主力戦闘機の選定や最初の二機か三機の実機供給が遅れた場合、F-2型の増産で空白を埋める案も聞こえております。
しかしその前に、武器輸出三原則の下で、戦闘機の協同開発に参加できない我が国は国産化が可能であるとしても、高額のライセンス料支払いを求められることが予想され、場合によっては国産化が出来ぬこともあり得ます。
いすれにせよ、民主党政権下での次期主力戦闘機の選定作業と機種決定の決断が迷走気味であります。
(了)
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