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航空自衛隊次期主力戦闘機(FX)の選定-1 [稲門機械屋倶楽部]

                                         2010-09 WME36 村尾鐵男

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防衛大綱と防衛力整備計画に基づく機種選定

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既によく知られているように、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の機種選定が遅れています。航空自衛隊は米国空軍が運用するF-22を望んでいたのですが、米国議会が高度な軍事機密を護るためにF-22の外国への販売を禁じたために、この最新鋭機を次期主力戦闘機とすることは最早不可能となりました。

航空自衛隊の主力戦闘機は過去に遡ると、F-86 Saberに始まり、F-104 Star FighterF4 Phantom, F-15 Eagle と強化されて来ており、F-22は、老朽化して退役を目前にするF4 Phantomに代わる戦闘機のはずでありました。

しかし、米議会が F-22の輸出を禁じたことだけが次期戦闘機の導入が遅れている理由ではありません。そもそも主力戦闘機に限らず、陸海空自衛隊の装備は単に新しくて高い性能を持つからと言って代替購入されるものではなく、防衛大綱に基づいて立案される防衛力整備計画に従って最適の装備が選ばれます。

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現在の我が国が持つ防衛大綱は2005年に作成されたもので、その後の中国に於ける急な軍備拡張は周辺国に大きな警戒感を与え続けており、加えて朝鮮半島に於ける軍事情勢も予断を許さぬ状況であり、本来であれば、今頃は新しい防衛大綱の下で新たな防衛力整備計画が策定されているはずでした。

ところが、鳩山政権下での安全保障観の欠如、民主党そのものが持つ親中反米思想、菅内閣による朝鮮半島への誤った認識により、さらには党首選のバカ騒ぎに明け暮れて、我が国の安全について、その根幹を成す防衛大綱が作成されぬままに放置されています。しかし、政治大綱を持たない民主党とその政権に我が国の防衛大綱が描けるのか、大いに疑問であり不安でもあります。

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先に記した航空自衛隊の主力戦闘機はいずれも米国製であり、一時期には米空軍の主力戦闘機でもありました。言い換えれば、日米安全保障条約の下での強固な同盟関係の一つの現われとして日米が共通の戦闘機を運用し続けたものであり、日米両国の戦闘機が一つの編隊を組んで飛ぶようなことがなくても、同じ飛行特性を持ち共通の装備を搭載することによって、協同作戦の遂行、特に作戦情報の授受では限りない便益を享受することが可能になっております。

F-86型戦闘機は米国から供与されたものであり、昭和31(1956)から運用され、国産型のF-86戦闘機も含めて航空自衛隊の主力戦闘機となりました。F-104型以降は、日本による複数機種の比較選定によって採用されたものであり、選定の過程で政治スキャンダルもありましたが、いずれの場合も米国空軍の主力戦闘機が選ばれており、大局的な観点からは望まれる選定結果であります

(2)に続く


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