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悪循環: カネは天下の回り物-2 [軽井沢だより]

その1 前書き 素朴な疑問-続

ユーロという通貨の存在は,奇跡に近い。通貨価値の安定を図るのに、加盟主権国の経済、財政政策の自主性があるから、一応財政赤字の枠があるとは言いながら、ECBが、出来ることは限られているという。これが英国のユーロ加盟に踏み切れない理由の一つであるという。ギリシャの不始末でユーロの存続の危機が言われたのには、権限の無いユーロ中央銀行すなわちECBの矛盾がある。

もとに戻って、政治家は自分たちの無能と無策を棚に上げて、失政の結果を日銀総裁に責任転嫁をしているのじゃないかと、思い始めている。円が急激に上がると、政府、日銀が連携して対処するとか、言うが、経済の停滞は、日銀の責任範囲なのかどうか。

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今の状態を結果だといえば、その原因を作ったのは、何かということになる。政治と経済は不可分である。

経済は政治家の責任ではないのか。

経済のことは、私にお任せください、といった政治家が、昔いた。経済活動を活性化するために、利率を下げるのはどうか。インフレターゲットを持たないから、いけないというのはどうか。これらは、中央銀行の役割だ。

通貨価値の安定と経済活動の活性化は、相反するものなのか。経済が拡張している段階では、インフレも高くなる、いやなっていた。

収入が増えるからこのインフレ、つまり物価の上昇は、吸収できた。インフレなしでGDPが伸びれば、越したことは無いが、中々難しいらしい。

分からないことばかり。

中央銀行は、予算案の作成、執行には直接関係ない。経済、財政の施策に直接関与するわけではない。まるで日本経済の低迷が、日銀の施策に起因するような議論が一部にあるのは、解せない。一部のこの議論が、すぐに付和雷同の世論になるのは、どこに原因があるのか。

経済一流、政治は三流という言葉があった。

これは、もう古くなって、言い換えなくては、意味が通じない。

政治が三流、だから経済も三流。

政治であって政治家でなく、経済であって経済人ではない。

政治家、経済人はどこの国も、似たようなものだというのが、私の見るところだ。

もっと言えば、二つの言葉に、政治、経済に制度をつけ加えると、分かってもらえると思う。制度に代えて仕組みと言っても良い。

政治の仕組みが、よくないから、経済の仕組みもうまく働かない。

今、円高だというので、為替介入の可能性が云々される。

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世界一の債務を背負う政府、GDPで中国に遅れを取ったばかり、デフレ、株式は、さっぱり、と言うような状況の日本円が何故買われるのか。

アメリカ、ヨーロッパに比較して、日本の状況はよいのだろうか。そんなによいとは、思えない。

為替レートには、二国間、あるいは、二つの通貨の間のものと、実効為替レートとあって,後者で見ると、円はそんなに騒ぎ立てるほどじゃないというのが、アメリカ、ヨーロッパの見方なら、この事態に日本単独で介入ということになる。効果のほどは、協調介入に比し、限定的になるのは明らかだ。

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実効為替レートは、その国の諸外国との貿易量と、その対応する外国との為替レートを加重平均したものという。

日本はデフレーションで、賃金も下がっている、だから多少円が高くなっても、十分輸出競争力は、あるはず、むしろ2,3年前に円高になっているべきだった、と言う説がある。

これが実態を示す議論なのか、どうかは、私には分からぬ。反論を政府、日銀から聞きたいものだ。

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日銀 実効為替レートのペー

http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/exrate02.htm 

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I Watanabe 2010-08-30

(3)に続く


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コメント 3

ぼくあずさ

渡辺さん EUへの加盟時に、実効為替を決めると同じ手法で、例えばドイツであればマルクをユーロに替えたのでしょうか。この作業時に不正をして、元の通貨が高く設定されたとすれば、国民は突然金持ちになり、アイルランドの様に、リースで次々に新車に乗り換えるような事態が発生することも考えられます。東ドイツが西ドイツに吸収統一された時、弱い東ドイツマルクが、同額の西ドイツマルクに交換されたので、旧東ドイツ人は金持ちになりました。
ところで、実効為替レートの定義が理解できていませんので、恐れ入りますが、例として数字を使った説明をお願いします。

by ぼくあずさ (2010-09-02 11:32) 

I Watanabe

ぼくあずささん、最近知ったばかりで、説明は、私より日銀の専門家にしてもらったほうがよいと思います。このlinkに実効レートの説明が例を使って、あります。http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/exrate.htm
EUというより、ユーロに加盟するといったほうが、よいと思いますが、マルク、フラン等が統一された時、どのような基準で、それが行われたのかは、別に調べないと、わからない問題です。ユーロを共通通貨とするというのは、ユーロ圏の中の国は、同じ価値を持つ通貨を使用するということになりますが、それぞれの国の物価水準、給与の水準等で、豊かさの違いがある。こう考えると、同じユーロを使う国は、ひとつの国の中の、各地方の経済の違いと同じだが、しかし地方と言っても、主権国であって、それぞれ財政事情は、違う。借金の多い国と、少ない国がある。同じ共通通貨を使うということは、貿易に大きな影響がある。対外的な価値すなわち為替レートは,圏内にない。為替を操作して、安くして輸出をしやすくすることは、出来ない。ユーロ圏の外への輸出についても一国も判断でレートは変えることは、出来ない。ギリシャは、今、ユーロから脱退するか、公務員の給与を半分にするか迫られている所以だと理解しています。
私は経済について自信ある知識を持つものではないので、この辺でご勘弁を。
by I Watanabe (2010-09-02 19:55) 

村尾鐵男

話の腰を折るようで恐縮ですが、EU加盟国が共通の貨幣を持つと言うことは共通の価値観を持ち、さらにその根底にほぼ共通の哲学があり、さらにその根源にはほぼ共通の宗教観があるはずです。
昔の欧州は今のように細分化されてはいなかったのですが、かつての辺境の地が独立国となれば経済力が弱いのは当然で、ドイツのような経済強国が弱い国を助けなければEUを維持することはできません。
民主党(日本)が憑かれたように唱える東アジア経済圏とやらには共通の宗教も哲学も価値観も欠いており、到底成り立つはずがないのですが、現政権の中枢に在る人達はマルクス経済学しか知らず、政治主導で突っ走るととんでもないことが起りそうです。
旧ソ連時代、1ルーブルは400円でした。モスクワで食事をして、円換算では何と高いかと驚きました。上海で食べたときも円換算では決して安くはありませんでした。
通貨価値とか、為替レートに政治が意図的に絡むと実に歪んだ経済実態が生じます。ましてや域内はおろか、日本国内に全体主義思想を密かに抱く政権があると、経済は歪んでしまいます。
by 村尾鐵男 (2010-09-03 22:07) 

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