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再び中国海軍について -2 [稲門機械屋倶楽部]

                                  2010-08-21 WMR36 村尾鐵男    領海300万㎢

中国海軍がかつての沿岸警備を主とするBrown Water Navy から外洋型の Blue Water Navy へ大きく変身しつつあることは暫く前に記しておりますが、今や中国海軍は300万㎢の海域を領海化せんと豪語しております。

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300万㎢の広大な海域は想像し難いのですが、中国が北朝鮮と接する国境の辺りから、ヴェトナムと接する辺りまでの海岸線を、細かい凹凸や出入りを無視して大雑把に眺めれば、ほぼ3000kmの長さがあり、日本列島の北海道から沖縄までの距離と概ね同じであります

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この3000kmの長さの海岸線を基準にして300万㎢の広さの海域を考えると、太平洋へ向かって1000kmまでを中国海軍は領海化、あるいは実質的な支配下に置こうと企図していることになります。

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中国の海岸線から1000kmとは、たとえば九州から沖縄諸島へと連なる列島の東側へ出ることを意味し、台湾とフィリッピンの間にあるバシー海峡をも実質支配しようとするものです。別の観点から見れば、北は渤海と黄海を中国の内海と化し、東シナ海、台湾海峡、南シナ海を我が領海にして、日本のシーレーンを脅かさんとするものです。

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中国海軍には二つの戦略戦線があり、日本列島と台湾、フィリッピンを結ぶ線が第一戦線、日本本土とマリアナ諸島を結ぶ線が第二戦線です。今は第一戦線をようやく突破できるようになり、第一戦線と第二戦線の間を遊弋して近代化された中国海軍を日本や米国に誇示しています。

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やがて、さほど遠くない将来に中国海軍は第二戦線を越えてハワイ沖へ進出して、米国海軍と太平洋の覇を競うとも豪語しています。

しかし、その本質は強盗国家の強盗海軍です。無人島があれば、誰のものであろうと兵士を上陸させて中国の旗を立て、梃子でも動かないのが得意です。

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しかし、いくら「戦略的辺彊」論に基づいて強面で領海の拡張に走っても、その後ろから強盗国家と強盗海軍の悪名が追い掛けますから、それなりの理由付けがなされています。それが次節で述べる「古来の中国領」ですが、清朝の版図は現在の中華人民共和国の領土であるとの主張で、さらには明朝の海将鄭和(Zheng He)60数隻の船と3万にならんとする乗組員を擁して幾度かアラブまで航海をしていますが、その航跡が残る場所は中国の領土であると主張したり、最早抑えることのできない領土欲に染まっています。

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何故、それほどに領海を拡大しなくてはならないのか。三千年とか四千年の中国史で、初めての経済成長を成し遂げ、先進国の仲間入りもできた今、この座から滑り落ちたくはないでしょう。それならば13億の民に食べさせる海洋資源と産業を支える海底資源が必要になります。しかし、「中庸」を著した先人の知恵は忘れられ、がむしゃらな猪突猛進だけが目立って、世界各地で軋轢が生じています。

(3)に続く


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