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戦闘機のレーダーとソフトウェア -7 [稲門機械屋倶楽部]

                 2010-05-15 WME36 村尾鐵男

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地中レーダー(Ground Penetrating Radar)

最後に話が大きく逸れますが、レーダーの応用に関して、地中レーダーについて記します。

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「地中レーダー」なる言葉を聞かれたことがあるでしょうか。  軍事技術としては、そのソフトウェアなるが故に全貌を掴むことはとても出来ませんが、日本では民間技術として普及しつつあります。

レーダー電波を地中に向って発射し、地層の境界とか電線配管等の埋設物の位置を確認する技術で、地面を掘り返す必要がなく、手間も掛らないので重宝な技術です。既に地質調査会社等が導入して大いに利用されていますが、地下2mから3mほどの深さまで、精度の高い探査が可能であります。

軍事技術としての地中レーダーは米国のRaytheon社が先行しており、地雷原の発見に大きな効果を発揮しております。ヘリコプターの胴体底部に地中レーダー用アンテナを装着し、低高度で飛行しながら地下に埋設された地雷を探すのがその目的です。

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地雷の悲劇は途絶えることなく報道されており、地雷の撤去のために国連を頂点にして、我が国も多大な協力と貢献をしております。地雷の探知は、TVでもしばしば放映されていますが、金属探知器で地面をゆっくりと撫でて、地雷らしきものを見つけると、その周辺の土を衝撃を加えないように慎重に取り除いて地雷そのものを取り出して爆破処理します。しかし、地雷処理の熟練者でも一日に3個とか4個しか処理できず、叉、金属探知機は金属なら何でも反応しますから、苦労して掘り出したら錆びた空き缶であることも度々です。さらに始末が悪いのが中国製の地雷です。木製の箱や竹で編んだ弁当箱に炸薬が充填されていて、金属探知機には反応しません。これも中国式のソフトウェアの一つでしょうか、それとも地雷一個を50円ほどで製造するための知恵でしょうか。

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叉、地雷探知は軍事目的と民間目的とでは異なります。軍事目的なら、最少でも歩兵部隊が一列になって通り抜ける通路の幅だけを、広くても軍用車輌が通るだけの幅を探知すれば済むのですが、民間目的では農地とか学校の校庭等、かなりの広さを持った土地から地雷を撤去しなくてはならず、民間目的の地雷探知と撤去の方がはるかに難事であります。

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いずれにしても、地雷の探知に地中レーダーが応用できることは、その探知と処理に関わる危険を大幅に減らし、要する時間も短縮できるので一層の実用化が望まれています。

(完)


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