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戦闘機のレーダーとソフトウェア -5 [稲門機械屋倶楽部]

                                         2010-05-13 WME36 村尾鐵男

今現在は判りませんが、かつてイスラエルの民間航空会社El-Al航空が運航する旅客機には囮の赤外線源が搭載されていると噂されました。

真偽のほどは不明ですが、最も数の多いサイドワインダー・ミサイルの価格は一発が4万ドルと伝えられます。この高価なミサイルを惜しげもなく撃って、しかも標的を外して太陽へ向って暴走させては国防予算がいくらあっても堪りません。撃つ方は命中を心掛け、狙われる方は必死に逃げ、相手に予算の無駄遣いを強いることを心掛けます。そこには単なるハードウェアとしてのミサイルだけでなく、その背後に膨大なソフトウェアが隠れていますが、これが明るみに出ることはありません。

よく知られたサイドワインダー・ミサイルの初戦果は1958年のことです。赤外線追尾式のサイドワインダー・ミサイルを装備した台湾空軍のF-86戦闘機が金門島上空で中国軍のMIG-1

戦闘機を10機とか11機も撃墜したとの記録が残されております。飛行機が戦争の道具となったのは第一次大戦の欧州戦線からで、空中で敵味方が遭遇すると互いに煉瓦を投げ合いました。まさにハードウェアとハードウェアの戦いでありました。それからほぼ100年が経ち、ハードウェアも想像を絶する進歩を遂げておりますが、その支えとなるソフトウェアの進歩は外に語られることがないだけに、凄まじいものがあると思われます。

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索敵と火器管制レーダー

空中を飛ぶ飛行機に搭載されたレーダーがたった1機の標的機だけを発見することは滅多になく、通常は編隊で飛ぶ複数の標的を探知します。この複数の標的に対し、どの順番で攻撃するかを決めなくてはならず、さらにどの武器、或いはどのミサイルを発射するかを瞬時に択ばなくてはなりません。これはハードウェアとしてのレーダーの性能よりも、ソフトウェアの優劣が試される領分であります。

相手の標的機をロックオンすれば、こちらも相手からロックオンされているかも知れず、叉、搭載量の大きな戦闘機では赤外線追尾のミサイルと電波誘導式のミサイルの双方を持つことも可能で、この組み合わせは幾通りかあって、この中から最良の方法を素早く選び出すのが火器管制装置のソフトウェアです。

(6)に続く


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