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「中庸」が説く政治の要諦 -1 [稲門機械屋倶楽部]

                      2010-04-20 MEW36 村尾鐵男

今回は古代中国の書から「中庸」を採り上げます。「中庸」は孔子の孫である子思の作であると伝えられており、何かに偏ることなく「中」を庸、即ち、常に思考行動の基本にしようとの考えです。「庸」の文字には、用いる、常に、労役の三つの意味があり、私は「中庸」を「常に偏らず」と理解しております。

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子曰知、仁、勇三者、天下之達徳也】

或生而知之、或學而知之、或困而知之。及其知之一也

【好學近乎知、力行近乎仁、知恥近 乎勇】

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〔孔子曰く、知仁勇の三つは天下の達徳なり〕

〔或いは生まれながらにして之を知り、或いは学んで之を知り、或いは困(クル)しんで之を知る。其の之を知るに及びては一(イツ)なり〕

〔學を好むは知に近く、力行(リョッコウ)は仁に近く、恥を知るは勇(ユウ)に近し〕

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これは孔子の言葉ですが、原文を敢えて三つに分けて判り易くしました。孔子は知仁勇を人が身に着ける三つの達徳とし、それを生まれながらに備えていても、学んで身に着けても、苦労して会得しても、身に着けば同じであると言っております。

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私が特に優れた人間観察であると思うのは三番目の言葉です。孔子は、学を好むのは知であり、為すべきことを努めて行うことは仁であって、恥を知ることは勇ましいことであると説いております。即ち、孔子の時代には、知仁勇が三つの達徳、即ち、人が身に着けるべき徳と考えられており、学問に精を出し、行うべきことを実行し、その上で恥を知ることができれば、三徳が得られると言っております。

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今の世の中、恥を知ることが死語になりつつあります。大は金銭塗れの首相や幹事長から、小は電車の中で化粧する少女まで、孔子に言われるまでもなく日本人が培った「恥の文化」が消え掛っており、このままでは厚顔無恥の国になってしまうと憂慮されます。

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【爲政在人】

〔政(マツリゴト)を為(ナ)すは人に在り〕

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僅かに四文字の言葉ですが、まさにその通りです。孔子は〈政治の要は人であり、政治の良し悪しは政治を司る人の如何である〉と言っており、今の日本の政治を顧みると、まさに至言であり、日本の政治も人次第の感があり、特に人に恵まれなかったときの政治は国民の信を失って行先知れずの迷走状態に陥ります。

(2)に続く


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