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火山の噴火と飛行への影響 -2 [稲門機械屋倶楽部]

                                   2010-04-16 MEW36 村尾鐵男  空港への影響                   .                                 降灰による機能停止

火山灰が空港内、特に滑走路上に積もると、滑り易くなって着陸機のブレーキが効かなくなります。又、離陸する航空機は滑走路上の火山灰を吸い込んでエンジン停止を招きます。

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滑走路上に積もった火山灰は、通常は水で洗い流すのですが、長さ3,000m、幅60mの滑走路は180,000㎡の面積があり、この広大な面積を隈なく洗い流すことは事実上不可能であり、さらに、僅かでも残ると、濡れた火山灰はより滑り易く、航空機の離陸と着陸は危険でできません。

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管制機能の障害

管制官と航空機は無線で交信しておりますが、空中に漂う火山灰粒子の大きさによっては無線障害が発生して極めて危険です。叉、進入して来る航空機の誘導もレーダーでの監視と誘導電波を航空機が受信して正しい進入コースに乗るのですが、この無線電波が火山灰の影響を受けると極めて危険です。

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気象レーダーの障害

大きな空港には気象レーダーが備えられていますが、火山灰による電波障害を受けると、広域と局部的な気象状態を知ることができなくなります。又、空港によっては着陸直前の航空機に極めて危険な下降気流(マイクロ・バースト)を探知するドップラー・レーダーは装備されていますが、これは空中の細かい塵埃の動きを観測するもので、火山灰が漂うと目的が果せなくなります。

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アイスランドの火山が噴火し、その火山灰が流れ込んだ各国の空港が素早く閉鎖されたのは、上記のような事態が生じているか、事前にその危険を避けるためで、当然採られるべき措置であります。

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上記には触れませんでしたが、航空機の外板も影響を受けることがあります。機体は全面が塗装されており、一見無塗装と思われる場所にも透明はウレタン系塗料が塗られてアルミ合金の外板を保護しております。しかし、航空機が火山灰の中を長時間飛行すると、硫化粒子である火山灰はこのウレタン系保護膜を破壊してしまい、外板そのものを傷めてしまいます。

航空機も空港も、火山灰に曝されたら運航と運用を停止するのが最も無難な危険回避の策です。

(完)


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