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民主党の環境・エネルギー政策(5):ドイツの実態 [稲門機械屋倶楽部]

                                    ・・・・・ 2010-01 MEW36 村尾鐵男

ドイツの国土面積は357,000㎢で、ほぼ日本と同じであります。しかし、人口ははるかに少なく、8,200万人ほどであります。人口密度で表せば、日本の360人に対して、ドイツは230人です。

この数字から何に気付かれたでしょうか。太陽光や風力のエネルギー化に関して、政府が「ドイツに見習え」とか「ドイツに追い着き追い越せ」と声高に訴えても、日本とドイツでは大きな違いがあって、ソーラーパネルや風力発電機による発電には、日本には日本の事情があり、ドイツにはドイツの事情があって、これを無視した政策は意味を持ちません。

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太陽光も風も、地球上の何処でも国や民族の差別なく均等に降り注ぎ吹きつけます。言い換えれば、日本もドイツも国土面積に比例して均等な太陽光エネルギーと風力エネルギーを受けております。しかし、人口が多いと、一人当たりで自然エネルギーを享受できる量が減ります。これを人口密度で試算すると、日本では一人当たりで受ける太陽光と風力のエネルギーはドイツの3分の2となります。これが先ず追い着くことができず、追い越すこともできない壁であります。

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手元にドイツの国土面積の内訳を示す資料がなくて、大縮尺の世界地図を見ながらの推測になりますが、ドイツは日本のように国土の3分の2が森林で覆われてはいないようです。叉、水路や河川の面積も日本よりは少ないようです。このことはソーラーパネルや風力発電機が日本よりも設置し易い条件が備わっていると考えられます。

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しかし、さらに驚くべき事実があります。少々古い資料ですが、2001年に於けるドイツの総発電量の内、51%が石炭火力であり、31%が原子力であります。次いで、10%が天然ガス、4%が水力、1%が石油となっており、その他が3%であります。即ち、太陽光発電も風力発電も1%以下であります。ドイツは石炭が豊富であることで知られておりますから、石炭火力による発電が主力であることは頷けるところです。

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もう一つ見逃せないことがあります。それはドイツの隣国フランスが原子力発電の大国であることです。フランスは総電力量の75%以上を原子力発電に依存する原子力発電の先進大国であり、日本も使用済み燃料の再処理をフランスに頼んでいるほどです。このフランスの豊富な電力が、陸続きで隣国のドイツが電力不足になったときは何時でも直ぐに送電されています。ドイツの環境政策を見習うとき、隣国フランスを外して考えては片手落ちであり、全貌を正しく見ることはできません。

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ついでに、ドイツと並んで多くの日本人が環境の良さで惚れ込んでいるスウェーデンですが、その電力のエネルギー構成は原子力48%、水力46%となっており、次いで石油と石炭が2%ずつです。尚、スウェーデンの国土面積は45万㎢で、人口は925万人、人口密度は20人に過ぎません。

(6)に続く


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