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外国語は難しい(1):早口英語(機内酸素マスク) [稲門機械屋倶楽部]

外国語の難しさ、失敗、得意満面、誰もが持つ実体験です。先ず私が恥を曝しますので、どなたでも奮って御投稿下さい。ぼくあずさ氏になり代わってお願いします。                                    2009-12 MEW36 村尾鐵男

     私の親しい友人で日本有数の商社に勤務していた者がおります。私達が就職して数年しか経たない昭和30年代終りの頃、早くも彼は選ばれて晴れのNew York(NY)勤務となりました。あの頃は、一部の者を除いて世間は概ね貧乏で、私も航空会社に勤めながらも、それ以前に飛行機に乗ったことはありませんでした。飛行機に乗ることはまさに高嶺の花で、手を振りながらタラップを駆け上がる人達を羨望の思いで眺めたものです。

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彼も飛行機に乗ったことはなく、NYへ赴任すべく羽田で乗ったNorth West機が初めての飛行機搭乗体験となりました。その後暫くして、私も出張でNYを訪れ、久し振りに彼との旧交を温める機会を得ました。近くで買ったボックス・ランチを食べながら互いに家族が健康であることを確かめ、駆け出しながら仕事でも奮闘していることを認め合いました。そして話も尽きる頃、彼は私に妙なことを訊ねました。

「飛行機の中で、もしかしたら使うかもしれない酸素マスクがあるだろう。あれを手に入れてくれないかな」

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私は彼が勤務する商社がどこかの航空会社から引合いをもらったと想像しました。

「幾つの見積を取ればいいかな」

「一つだけ。俺の自分用なんだが」

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彼は赴任に際して、羽田からNorth West機に乗るまで飛行機に乗ったことがなく、当然、日本の航空会社が運航する飛行機にも乗ったことがありませんでした。飛行機の出発直前、どなたも見知っていることですが、女性客室乗務員が通路に立ち、エプロンのポケットから実物の酸素マスクを取り出し、片手でマスクを自分の口に当て、一方の手では酸素チューブの端を頭上の荷物棚の下面の辺りに差し込む真似をして、酸素マスクは必要なときに自動的に降りて来ると説明します。この説明はどこの国でも航空法で義務付けられていますが、出発前の最も忙しいときでもあって、ついつい早口になります。

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私もアメリカの航空会社の便に幾度も乗りましたが、普通でも早口の若い女性が、出発前の寸暇を割いて説明するので、猛烈な早口になります。彼は初めて飛行機に乗って慣れない早口英語に出遭い、酸素マスクは乗客自身が予め用意して飛行機に乗り、いざと言うときは、自分で酸素マスクのチューブを酸素供給口へ差し込むものと理解しました。

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無理もないことです。アメリカ国内を旅して、日本と同じように、若い女性の言葉は聞き取れぬほどに早いものでした。家族を連れてアメリカを訪れたとき、食事の前の機内放送でメニューを報せたのですが、通路を挟んで私の隣にいたアメリカ人の初老の男性が、私に「今、チキンと、後の二つは何と言ったのか」と尋ねました。勿論、私に聞き取れるはずがありませんでした。

                                                              ・・・・・ 2009-12-06 村尾記鐡男

(2)に続く        


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ぼくあずさ

随分と昔のことですね。お腹を捩じって笑わせて貰いました。
私が初めて飛行機に搭乗したのは、幸いなことに台北行きの日本航空コンベア880でした。10日間ほどの旅を終え、空港へ。マネーチェンジは日本語で難なく済ませました。なーんだ、係員は日本語がペラペラなんだ。勿論、機内アナウンスも早口?の日本語でした。登山靴を履き、預けたザックとテントを知ってか、スチワーデスさんは満点のサービス。非常感謝!! 確か1964年夏のことです。



by ぼくあずさ (2009-12-10 08:04) 

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