創作短編(51):伊藤博文を撃ったのは誰か -10/10 [稲門機械屋倶楽部]
2012-9 WME36 梅邑貫
実は、この創作短編は前回で終わっていたのですが、急遽、蛇足を付け加えさせていただきます。
つい先月の8月15日、韓国大統領李明博が日本領の竹島へ不法上陸し、後の記者会見で、「韓国独立運動の犠牲者に天皇陛下の謝罪」を求め、その一週間ほど後に韓国の外相に相当する閣僚も同じ発言を繰り返しました。
「韓国独立運動の犠牲者」の内に安重根も含まれると私は想像しますが、日本から見れば安重根はテロリストです。明治政府の重鎮であった伊藤博文に直接銃弾を浴びせてはいないにしても、そのテロリストに日本は、天皇陛下ならずとも、謝罪はおろか侘びの一言も必要としません。
この一文は楠木誠一郎著「日本史 謎の殺人事件」(二見書房刊)を参考にさせていただきましたが、その原著では安重根と共に裁かれた他の三人の刑が軽いことから、三人か、その内の誰かが日本に通じていたであろうと推測しています。
いずれにしても、安重根が伊藤博文を暗殺せんとした理由の十五ヶ条は現代の日本人にとっても憤懣ものであって、支離滅裂です。
安重根が自らこの十五ヶ条を考え出したのか、誰か別の者に刷り込まれたのかは今となっては検証の方法がありませんが、先の韓国大統領と外相の発言と照らし合わせると、国内政治での思惑があるにせよ、自分に都合の良い一方的な歪曲と解釈は安重根を今もって英雄として祭り上げている特有の思考構造に共通します。
私達はとんでもない隣人と大昔から付き合っています。日本の技術を求めるためには平身低頭しながらも、一度手にすると、元々自分達で開発したと自ら思い込ませて信ずる奇妙な思考様式を持っています。日本はこの国と民族に近着き過ぎてはなりません。「君子、危うきに近寄らず」です。
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