薄煕来（ポー・シーライ）の脱落 -1/4

　　             　　　　　　　　　　　　　　　2012-04 WME36 村尾鐵男

　中国共産党政治局員で重慶市の市長を務めていた薄煕来が3月15日に政治局員を解任され、その後、夫人の谷開来（クー・カイライ）が殺人容疑で拘束されるに及んで、現国家主席であり党総書記である胡錦濤（ホー・チンタオ）が属する共産党青年同盟と次期主席が約束されている習近平（シー・チンピン）が属するいわゆる太子党、或いは江沢民派との争いが隠微な様相を呈し始めました。 

重慶市共産党委員会書記とは　
薄煕来は一般的には重慶市長と呼ばれますが、正式の名称は重慶市共産党委員会書記で、重慶市の最高位に君臨します。

重慶市とは

　中国には四つの特別市があり、それは北京、重慶、上海、天津です。この内、重慶市は北海道ほどの広さに2,900万人ほどが住み、加えて、市の下に都市部の19区と15県と4自治県があります。自治県とは苗族を主とする少数民族の自治地域です。

薄煕来と太子党

　薄煕来の父親薄一波（ポー・イーポー）は中国共産党の八大元老の一人です。八大元老とは鄧小平、陳雲、彭真、楊尚昆、薄一波、李先念、王震、鄧頴超（周恩来夫人）ですが、最後の三人を宋任窮、万里、習仲勲（習近平の父）とする場合もあります。

　毛沢東や周恩来は共産主義革命の当事者であり、元老としては数えません。

　薄煕来は1949年生まれですが、八大元老の二代目でもあり、大連市長を振り出しにして、遼寧省の省長を長く務め、2007年に重慶市の党書記、即ち市長となりました。

　今年の秋に胡錦濤の跡を継ぐ予定の習近平もその父親は八大元老の一人である習仲勲です。このように、八大元老とか、八大元老の内に数えられなくとも、共産主義革命に偉業を遺した者の二代目や三代目を太子党と呼び、地位と財産が意のままになり、北朝鮮の世襲を表立って非難できない因の一つでもあります。

コメント 1

村尾さん
すでに多くのアクセスがあります。何処かで紹介されているのかと思われますが、所在は不明です。今回の事件は江沢民派内の勢力争いに乗じての共産党青年同盟の介入なのでしょうか。習近平失脚まで繋がる可能性は皆無なのでしょうか？
by ぼくあずさ (2012-04-19 11:09)