「日本よ、原発に背向けてはならぬ」2/2 [明治維新胎動の地、萩]
By N.Hori
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(2012/04/03産経)
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日本経済は安定的で持続可能な電力供給の上に築かれている。日本は何十年にわたり、そうした持続可能性を目指して、発電燃料の組み合わせの確立に取り組んできた。一方で、国内の商業用原子力産業を強化することにより、化石燃料の燃焼で放出される炭素含有量を減らしてきた。燃料補給のたびに原子炉から取り出される使用済み核燃料を再利用することも原子力産業強化の一つである。.
筆者が2007年、国際原子力機関(IEEA)の顧問を務めた米国の専門家と一緒に、六ヶ所再処理工場を訪ねた時のことである。その専門家は、このようにすばらしい施設を建設し、原子力によるもっと持続可能な電力供給へ日本を導く「先見の明」を持っていると、現地の当局者に祝辞を述べた。.
同じ年、東京で、重要インフラ防護(CIP)に関する会議の議長を務めた。席上、日本のエネルギー企業からの出席者が、中越沖地震に伴い柏崎刈羽原発全体が運転停止となったせいで、その電力喪失分を補うために石油、天然ガスを購入せざるを得なくなって、不慮の出費がかさんでいると話した。その結果、同原発は、事業の電力部分で1500億円以上という巨額の損失を出した。.
日本が原発からの電力にそっぽを向くことは、経済に大変な損害を及ぼすというのは、控えめな言い方である。日本は09年に、総発電量1兆410億キロワット時のうち、約27%を原発によって生み出している。
風力、太陽光をはじめとする代替エネルギーの供給が研究、開発されることは結構である。それらが効率的なものになることがあるならば、だ。だが、日本が、経済を生産的かつ効率的に維持していくのに必要なエネルギーの量を確保するのであれば、これらが化石燃料や原子力に代わるという現実的な望みは全くない。.
日本が原子力分野の能力では世界で最も優れた「東芝」のような企業を有していることは幸運である。日本はまた、オーストラリア、カナダ、英国、米国という原子力分野の能力で日本のすぐ後に続いている国々と、緊密な友好関係も持っている。07年に、阿部晋三首相とブッシュ大統領が日米共同声明で求めたように、これらの5か国が協力し合えば、小型で極めて安全な原子炉の開発を通じ、小さな低開発国にとっても安全でふさわしい電力を、世界経済に提供できる。
原子力の持続可能性を達成するという点において、今日までの日本の進歩は、実に目覚ましく、責任あるものだ。日本の指導者たちは、原子力エネルギーにどの程度依存しなくてもよいと望むのか、と日本国民に問うよりも、商業用原子力への前向きな見通しを奨励する方が賢明だろう。今こそ、国民の利益のため、政府、産業、政治の指導力が勝るべきときだ。.
日本が、福島原発を起こした直後なので、面映ゆい気持ちがする意見です。
完
上記記事の著者 James E. Auer 氏、1941年テネシー州生まれで、海軍の将校でした。
異色の経歴は、日本の海上自衛隊幹部学校へ留学し、横須賀を母港とする第7艦隊所属の駆逐艦の指揮官でした。勿論、日本語は達者です。
by 村尾鐵男 (2012-04-05 20:00)
村尾さん、コメントを有難度うございました。
あゆさこさん、カリメロさん、rtfkさん、nikiさん、アルマさん、niceを有難度うございました。
by n.Hori (2012-04-06 18:28)