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今回のオリンパス騒動で感じたこと -1/2 [サンアントニオ短信]

                   大嶋邦夫

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今年4月にオリンパスの社長に社歴30年の英国人社長が内部昇格した時、NSG(日本板硝子)の米人社長の就任以上の希望を持ちました。 

彼がオリンパスに新しい風を吹き込み、この世界シェア70%を誇る内視鏡メーカーが更なる飛躍を遂げるだろうことを期待したからです。

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結果は10月14日のMichael Woodford社長解任から端を発し、場合によっては会社が粉飾決算により株式市場からの退場も懸念されることになりました。 Enronに匹敵する事態になりかねません。 海外メデアの報道で呪縛を解かれた国内メデアもこれにやっと呼応して報道するようになりました。これは、日本の監督官庁の後追いにも言えることですが。

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30年来の私の持論ですが、多くのサラリーマン経営者をトップに頂く日本企業には緩やかな改善はできても、過去からの慣性を振り切っての自己変革能力はありません。 そこでは社長あるいは実力者に異議を唱えることができない仲間内経営の弊害があります。 サラリーマン重役も家族を支えねばならないからです。 ある程度成功を収めた社長はイエスマンに取り巻かれ道を踏み外して行きます。 そこでは彼個人のエゴを優先いて行きます。 これは最近の管首相に見る政治の世界でも同じでしょう。

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3・11原発事故の初期報道では東電、政府発表を海外メデアは信用しませんでした。 10月中順でのオリンパス英国社長解任発表でも海外メデアは会社発表に疑問を持ちました。 今回の問題の発端は元社長Woodfordが不自然に多額金額を投じた数社の買収を当時の会長に問い正したことでした。 

オリンパス経営陣は彼が日本に殆ど滞在することなく、その言動が社長として独断専行し不適任として解任。 しかし、彼は30年オリンパスで仕事をしてヨーロッパ子会社社長を務めて実績を上げた人物です。 彼の任命責任はどうなったのでしょうか。 

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今回の問題は単なるオリンパス粉飾決算だけではありません。 日本の会社の持つ企業体質、経営の透明性に疑問を抱かせる問題を提起しています。 

この粉飾決算での金の動きにはケイマンの会社が関与、それには大手証券会社の名前も出てきています。 米国のFBIや英国の政府機関も調査に入っているようですが、日本企業、会計監査、証券業などの信用を失墜させました。


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ぼくあずさ

日本板硝子の大型買収が話題になりました。米人社長就任はこの買収条件であったと記憶しています。今、この買収が重荷になっています。米人社長との直接の関係はないと思われますが。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/editors.aspx?g=DGXNMSDY10028N10112011000000&n_cid=DSTPCS007
by ぼくあずさ (2011-11-12 00:31) 

大嶋

NSGのピルキントン買収で当時の藤本社長、日本人では新しい組織の経営は無理と判断してピルキントン社長をNSGの新社長、自分の後任に据えました。残念ながら彼は家庭の事情で英国に戻らざるを得なくなり彼の後任に元DuPontの副社長(米人)を据え現在に至っています。 
私の興味はNSGとオリンパスの英米人が日本の会社社長に就任してどう舵取りをするかにありました。 
ご指摘のように買収を決めた時には現米国人社長は関係ありません。
円高でM&Aが盛んですが、Synergyを出して成功させるのは難しいものです。 
Nikkeiサイトのご紹介ありがとうございました。
by 大嶋 (2011-11-12 03:34) 

村尾鐵男

私は、オリンパスのコンパクト・カメラに始まり、ペンF. OM-1, OM-2,
OM-4 と買い揃えました。OM-3だけは何故か食指動かずでした。
出掛けた先で記念の写真を撮り、子供の成長を撮るのに、ニコンやキャノンでは高過ぎて、カメラも重たくて邪魔です。オリンパスは一回り小さくて軽く、値も手頃でしした。特にOM-1は使い過ぎて、カメラには珍しいオーバーホールをしたほどです。
オリンパスには愛着がありますが、今度の不祥事、諸々の背後事情と経営陣の経営感覚が問われますが、それ以前にみっともないことです。でも不思議なもので、経営陣がこれだけ世間に隠した秘事と悪事に染まりながらも、技術陣が安泰であったことは驚きです。
それとも、技術陣がしっかりしていたから、他の経営首脳がいいかげんなことができたのか。追々明らかになるでしょう。
by 村尾鐵男 (2011-11-12 14:35) 

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