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創作短編(30):番外編:江戸城大奥 -4/8 [稲門機械屋倶楽部]

                                      2011-10 WME36 梅邑貫

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四 大奥へ入ることができる男は誰か

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 大奥へ入ることができた男は将軍と子供と奥医師だけです。子供でも、十歳を越した男児は大奥へ入ることができません。

 奥医師とは将軍と御台所、それに大奥全体の健康管理を受け持つ医師のことですが、二人一組で大奥へ入って御台所の脈診をしました。

 幕末こそ日本にも女医が現れますが、大奥が華やかな頃の医師は総て男ですから、男子禁制の大奥へ入って将軍正室だけでなく、その他の上臈達の健康診断を行うのは大変なことでした。

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 御台所の脈を診るときは、御台所は手首に薄い布を巻きました。たとえ医師とは言っても、男の指が御台所の肌に触れないためです。脈診ガ終わると、御台所は左右の手を手首の辺りで交差させて、もう一度の脈診を受けました。二人の奥医師が御台所の両手首の脈診をできるようにするためです。

 今でも漢方医の世界では脈診を重要視し、脈の打ち方で健康診断を行い、隠れた病気も発見できるそうです。江戸時代であればなおさらであったと想像されます。

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 大奥への入り口は冒頭に記した銅板張りの壁の両端二ヶ所に設けられており、上御鈴廊下(カミオスズロウカ)と下御鈴廊下です。

 この出入り口には七個の銀製の鈴が吊ってあり、将軍が大奥へ出入りするときは、上御鈴廊下を通り、小姓が甲高い声で「お成(ナ)りいー」と声を上げて鈴を鳴らし、大奥側で控えている女中に知らせます。

将軍が大奥から中奥へ戻るときは、これの反対の操作が行われます。

下御鈴廊下は中奥で執務中の将軍に食事を届ける場合等に使われる通路です。食事を運ぶと天井や壁に臭いが沁み込むので、将軍の通路とは分けたと伝えられます。


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