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大震災6か月・専門家の反省 -5/5 [明治維新胎動の地、萩]

                .by N.Hori

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潜んでいたM9 過信で見抜けず 

(地震調査委・委員長 阿部勝征氏)

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 日本でM9の地震は起きないと思い込んでいたので、非常にびっくりした。海洋プレート(岩盤)は、年代が若いほど、高温で軽いため浮力が働き(陸の下に沈み込む際に)陸側プレートと接触する力が増え、M9級の地震を起こす。しかし、日本付近の太平洋プレートは、南米沖から湧き出して長い距離を移動してくるため、年代は1億年以上前と非常に古く、超巨大地震を起こすパワーは無いと思っていた。

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 既存の知識で、プレート境界の地震を理解したと思い込み、満足していた。それが打ち砕かれた。地震学はそこまで進んでいなかった。科学の限界を感じる。自然には敬意を払わなければいけない。侮ったり、分かったなんて思ったらいけない。そういう姿勢はよくないと学んだ。過去に無かったことが、将来起きる可能性を考えることが大事だという教訓を得た。至らなかったと反省している。

 巨大津波が起きた貞観地震の研究成果をなぜ事前に取り入れなかったのか、とよく聞かれる。

 しかし、貞観地震の津波堆積物は宮城県以外では、ほとんど見つかっていなかった。

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 地震調査委では、東日本大地震のような巨大地震が将来起こり得ることを念頭に、想定の見直しを進めている。ただ、今回の反省があまりにも大き過ぎて、反動が怖い。

 例えば、最大規模の地震をどう想定するか、は まだ、議論が煮詰まっていない。南海トラフの地震は、琉球海溝まで連動するのではないか、という考え方まで出始めており、今まで、荒唐無稽と思われていたことも、視野に入れる必要が出てきた。科学的な根拠をきちんと評価し、防災対策につなげることが大事だ。

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 今回の大震災では、通常の海溝型地震と海溝沿いで大きな海底変動が起きる津波地震が連動した。南海トラフでも、東海、東南海、南海地震だけでなく、津波地震が連動するケースを将来の地震像に組み込みたいが、まだ手探りだ。

 大震災の問題点や課題を抽出し、教訓を探さなければいけない。潜んでいたM9を見抜けなかったことをどう生かしていくか、西日本でもM9が潜んでいると思って、そのしっぽを捕まえる努力をいくことが大切だ。


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