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飛虎将軍 杉浦飛曹長 [和田の泊りより]

                                              .by 月川善雄

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台湾・台南市安南区同安路127号に、「鎮安堂 飛虎将軍廟」が鎮座している。そこに奉られているのは大東亜戦争中、台南上空の空中戦で壮烈な戦死を遂げた日本海軍の杉浦茂峰飛曹長(戦死後に少尉昇進)である。

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大東亜戦争後半の昭和19年10月12日、米軍はフィリピン進攻の下準備として台湾各地に航空決戦を挑んできた。我が陸海軍の航空隊はそれを迎撃、そして午前7時19分、米軍機が台南に来襲した。

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台南基地より発進した日本海軍の零戦隊は果敢に迎撃戦を挑み、勇敢に戦ったが、数を頼む米軍機には勝てず、一機又一機と撃墜されていった。そのうちの一機、杉浦飛曹長の搭乗機は尾翼より発火し、海尾の大集落へ向かって落下していった。

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このまま落下したら、海尾の町は大火事になる。そのとき、零戦は機首を上げて上昇し、海尾の町をはずれ東方の畑の方へ飛び去った。そして杉浦機は民家を避けて無人の農地に墜落し、杉浦飛曹長は落下傘で飛び降りたが、米軍機の機銃掃射を浴びて落下傘は破れ、壮烈な戦死を遂げたのである。

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その後、町の有力者達が集まり、身を挺して海尾の町を戦火から救った杉浦飛曹長の為に、永久にその恩徳を顕彰する事を衆議一致で決議した。そして昭和46年に廟を建設して毎日お参りをした。御本尊として祀られているのは杉浦茂峰少尉の金モール姿の像である。

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すると、稲作は豊作、豚や魚の養殖も順調で、宝くじまで当たる者も出てきた。廟は海尾集落の守り神として集落の人々の尊敬を集めている。毎日遠近からの参拝者が多く、日本からの参拝者も年中絶えない。

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廟の正面には「鎮安堂 飛虎将軍廟」と書いた額が揚げられている。「鎮安」とは鎮邪安民の意で、「飛虎」とは戦闘機又は空を飛ぶの意である。「将軍」は神として奉られる勇士の尊称である。

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廟守は朝夕2回、タバコを7本点火してお供えし、朝は日本の国歌「君が代」、夕は「海ゆかば」を粛々と歌うのである。祭壇の両脇には中華民国の国旗と日本の国旗が立ててある。

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そして、毎年10月には5日間にもわたって例大祭が盛大に催されるというのである。

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このような勇者に対する台湾人の方々の愛情と尊敬溢れる態度には、日本人として深い感謝と敬意を表さずにはいられないと考えるのである。


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森田和夫

この一文丈でも21世紀初頭を生き抜いた
気概が感ぜられます!
月川さんありがとう...万歳!
by 森田和夫 (2011-08-16 15:29) 

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