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ビルマ行 -9/9 [和田の泊りより]

                                                                                .by 月川善雄

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何処へ行ったのかは忘れてしまったが ただ一つ憶えているのはガイドの説明で泰国は有史以来一度も外国に占領されたことが無い国だと言う事だった。確かに日本も進駐したことはあったが占領はしていない。

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そしてツアーの終わり頃に喉が渇いたから何か飲もうと言ってとある場所で停車した。車が止まって降りると男が居てコークの栓をポンポン抜いて降りてきた客に次々と渡す。そして中へどうぞと案内されると中は土産物屋で結局何かを買わされる仕組みになっている。会社の同僚に渡す安物のタイクリップを幾つか買って終わりにした。

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その晩はまた日本料理屋で晩飯を食べその後でお風呂に行こうということになった。 たしか「チャラバ三助」とか言う名前の店だったと思うが 覗き窓から中にいる女の子を番号で指名して浴室に行きヌルイお風呂に入れられてそれからタイ式マッサージを受ける。ぬるい湯に入った上に冷房がガンガン効いているものだから風邪を引きそうになってマッサージが終わるとほうほうの体で逃げ出した。

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丁度この数日前にバンコクで日本人の駐在員がナイトクラブの女性に射殺される事件があった。なんでも別れ話がもつれ「あの女は性病もちだったから」と言ったのがその女性のプライドを大層傷つけ「そんなことを言われたのではこれから商売を続けることが出来ない」と凶行に及んだとのこと。これなどは情事だが普通の生活に於いても相手のプライドを傷つける言動というのは国によって異なるので外国へ行った場合には十分気を配る必要がある。

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翌日の昼過ぎ無事に泰国を出国してBOACB707でドンムアンを離陸し、香港経由帰国した。香港空港では公定レートは1ドル360円のところを400円で換えていた。今では考えられないほど円の実勢は安かったのだ。そこで手持ちのドルを円に換え小銭を稼ぎ、後はジョニ黒とパーカーの万年筆を一本買ってこの出張は終わった。

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最近では首都もヤンゴンからピンマナに移りいろいろ変化もあるようだが ミャンマーへのツアーなどもあるようなので、あれから40年近くもたってあの国がどのように変わったのか一度訪れて見たいような気もする。

                                                                               (完)


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村尾鐵男

月川さんの「ビルマ行」を楽しく拝読しました。
私もとんでもない国々を訪ねて降りますが、ビルマは機会がなく、垣間見ることもできずに終りました。
昭和20年の終戦後、中国で国民党と共産党の内戦が続き、蒋介石は周知の如く台湾へ逃れましたが、共産党も蒋介石も嫌いだと言う国民党の部隊が南下してビルマへ逃れました。その後、兵士たちはビルマ名を名乗ってビルマ人女性と所帯を持って落ち着くのですが、ビルマ人と中国人は体形も顔も似ていて区別ができません。
現在のビルマ軍事政権の中にはこの国民党兵士を父とする者が幾人かはいるはずです。複雑な国です。
by 村尾鐵男 (2011-07-22 07:20) 

ぼくあずさ

月川さん
大変興味深く拝読しました。私のビルマの認識は「ビルマの竪琴」の域を
出ません。ビルマ人との只一の接触したのは、1965年夏、台湾淡水の海水浴場でテントで一夜を明かしました時です。確か有料のビーチに行きましたら其処でビルマから逃げて来たというアルバイトの若者に紹介されました。台湾人よりどす黒いという記憶があります。ビルマは私にはとても住めない国だと思いました。
by ぼくあずさ (2011-07-22 08:23) 

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