杜甫、李白を詠う -4/5 [稲門機械屋倶楽部]
2011-05 WME36 村尾鐵男
:
君今在羅網 君は今、網羅に在り
何以有羽翼 何を以ってか羽翼有らん
落月満屋樑 落月、屋樑を満たし
猶疑照顔色 猶ほ疑う顔色を照らすかと
水深波浪闊 水深くして波浪闊(ヒロ)し
無使蚊龍得 蚊龍(コウリュウ)をして得さしめる無かれ.
君は囚われの身で、羽や翼も持っていないのに、どうやって私の夢の中に現れることができたのか。落月が明るく軒を照らし、君の顔も照らしていた。私達の間にある川は、水が深く、波も高い。蚊龍に捕まってはなりません。.
網羅とは地名ではなく、魚を捕る網(アミ)と鳥を獲る羅(アミ)を指す言葉で、転じて囚われの身であることを言います。屋樑とは軒先のことです。 蚊龍とは、一人前の龍になる前の龍で、水の中に棲むと伝えられる伝説中の存在です。.
唐王朝全盛の玄宗皇帝の治下、755年に安禄山とそれを継いだ史思明による安史の乱が起き、ウィグルの助勢を得て王朝側が鎮圧する763年までの八年間は戦乱と混乱の極致にありました。安史の乱が起きたとき、李白は55歳、杜甫は44歳でしたが、李白も杜甫も戦乱に巻き込まれ、李白は現在の貴州省へ流され、杜甫は陝西省へ追われます。
李白は流刑地へ向う途中で赦免されて引き返すのですが、その間の暫し、行方が判らなくなっており、杜甫はその李白を案じて幾つかの詩を詠っております。
一方で、私の不学のために、李白が杜甫を詠んだ詩を見つけることができません。私の手元にある漢詩の書籍、到底自慢にはならず、蔵書とも呼べないものばかりですが、それでも調べてみて、李白が杜甫を詠んだ詩は発見できずにおります。
コメント 0