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近頃話題にならない爆撃機 -7/7 [稲門機械屋倶楽部]

                                 2011-01-19 WME36 村尾 鐡男

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爆撃と局部的制空権

 現在、本格的な爆撃機を持って爆撃作戦が敢行できるのは米ロの二ヶ国だけで、伸張著しい中国にも見るべきものがありません。

 しかし、世界に誇る米ロの爆撃機も、空母と同じで、それ自体では極めて脆弱で、爆撃機は戦闘機に攻撃されると脆さを露呈します。戦略でも戦術でも、爆撃機が爆撃を敢行するのは、味方戦闘機によって、局部的にせよ一時的にせよ、その空域の制空権が保たれていなくてはなりません。空母を強力な護衛艦隊群で取り囲んで護るのと同じです。爆撃機も空母も単独で出撃すれば、無事に生還することは期待できません。特に、B-52とか Tu-95 のような旧世代機ではステルス性能が皆無ですから、敵方のレーダー警戒網に容易に捉えられてしまうので、戦闘機による護衛を欠かすことが出来ません。

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 ロシアによる新型爆撃機の開発については不詳ですが、アメリカの新型爆撃開発はこのステルス性能が重視されるのは当然であります。戦闘機に護衛されれば、爆撃機はステルス性がなくても任務を果たすことができるとの考えがあり、現にB-52型の如く古い機種が依然として現役爆撃機であり得るのは強力な護衛戦闘機群が存在するからでもあります。

 しかし、爆撃機と戦闘機では航続距離が大きく異なり、飛行高度も異なり、ときに護衛が手薄になる場合もあり、又、爆撃機そのものがステルス性を備えることの優位性は大きいので、B-1B-2型以降の爆撃機はステルス性を備えております。

 ステルス性能についてはしばしば誤解されていますが、レーダースクリーンにまったく映らないのではなく、小さく映って、鳥の群れと間違えるほどにしか映らないことをステルス性と呼びます。専門的にはRCSRadar Cross Section)を極力小さくすることでありますが、これは意外と製造コストの高騰を招き、アメリカ空軍が B-2型爆撃や F-22型戦闘機の製造を途中で止めたのも、あまりにも調達コストが高くなったからで、今後の新型爆撃機は果たしてどのような姿で世に現れるか興味のあるところです。 

                                                                               (了)
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