評判の新書2冊 [サンアントニオ短信]
1/18/2011大嶋邦夫
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一冊目は藻谷浩介、デフレの正体―経済は人口の波で動く、角川One文庫。 2冊目は波頭亮、成熟日本への針路―成長論から分配論へ、ちくま新書。
デフレの正体、面白い観点で書かれていました。 著者はマクロ経済学がわかっていないなどの批判はあるようですが。 統計を駆使した説得力のある視点がいくつもありました。
昨年6月から8版を重ねています。
日本には国際競争力があるが、それと今後の日本のGDPあるいは内需の伸びとは結びつかない。 内需不振は生産人口(15-64歳)の歴史的落ち込みである。 この人口こそGDPを支える消費人口で、所得があっても消費しない高齢者には期待できない。
日本には将来の成長はない。 人口の落ち込みを移民では補えず、生産性向上も人口減の処方箋たりえない。 ”日本の生き残りはモノつくりの技術革新にかかっている“というのは美しい誤解と断じている。 筆者の提案は高齢者から若者への富の移転である。二冊目の本もサブタイトルの示す如く成長論から分配論への転換である。 人口が減る日本には米国、中国のような成長論は無意味。 それよりも北欧型の高負担高福祉が必要でそのためには持てる者への課税を含む分配論への転換が必要。 この二冊の本、分配論になりましたが、これに反論する経済学者が表れて欲しいものです。
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