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白居易の世界 -5/11 [稲門機械屋倶楽部]

                            2011-01-0 WME36 村尾鐵男

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慈烏夜啼

慈烏失其母 唖唖吐哀音 昼夜不飛去 經年守故林

夜夜夜半啼 聞者爲霑襟 聲中如告訴 未盡反哺心

百鳥豈無母 爾獨哀怨深 應是母慈重 使爾悲不任

昔有呉起者 母歿喪不臨 嗟哉斯徒輩 其心不如禽

慈烏復慈烏 鳥中之曾參

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〔慈烏(ジウ)其の母を失い、唖唖(アア)と哀音を吐く。

昼夜 飛び去らず、経年 故林を守る。夜夜 夜半に啼き、為に聞く者の襟を霑(ウルオ)す。声中 告訴する如く、未だ反哺(ハンポ)の心を尽くさずと。百鳥 豈(ア)に母無からんや、爾(ナンジ)独り哀怨深し。応(マサ)に是れ 母の慈(イツク)しみ重くして、爾をして悲しみに任(タ)へざらしめん。昔、呉起なる者あり、母歿すれど喪に臨むことなく、嗟哉(アア)、斯(ソノ)徒輩(ヤカラ)、其の心 禽(キン)に如(シ)かず。慈烏 復(マ)た慈烏、 鳥の中の曾参(ソウシン)なり〕

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「慈烏」とは、慈鴉(ジア)とも呼ばれるカラスの一種で、母は生まれた子に60日間、餌を与えて育て、子は成長してから母に60日間、餌を運んで恩返しをすると言い伝えられます。

「哺」は哺乳の「哺」で、口移しで餌を与える意味を持ち、「反哺」とは子が母に食べ物を運んで与えることで、親孝行を意味します。

「呉起」は戦国時代の武将で、「名のある将になるまでは帰らない」と言って家を出て、母の死にも帰らなかったことで知られます。

「曾参(ソウシン)」は曾子として知られる孔子の弟子で、呉起と同時代の人物で呉起とも親交がありましうた。又、曾参は孔子の孫の子思に孔子の教えを伝授しており、宗聖とも讃えられ、「大學」と「孝経」を著述しました。この曾参が、母の死にも帰宅しない呉起の親不孝を歎いて、呉起と絶交したと伝えられます。

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野暮な現代語訳は致しませんが、この「慈烏夜啼」は白居易がカラスを詠ったのではなく、母の子への慈愛と子の母への孝行を詠う詩です。


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