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悪循環: カネは天下の回り物-3 [軽井沢だより]

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その2 資金循環統計

脱線しかかったので戻ってお金の発行に拘わる問題に帰る。

カネは天下の回り物ということわざがある。

それにしては自分の懐を通過する量が少ない、と言うのは心得違いだ。

通貨は経済の血液だというのは、物々交換の時代じゃないから、正しいことなのだ。

天下を回るといっても選好傾向があって、満遍なく、回らない。どこか好きなところしか回らない傾向があるようだ。血液は万遍なく、体中を流れなかったら、大変だ。

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日銀は資金循環統計と言うものを四半期ごとに発行している。これは最近になって知った。金融資産,負債を経済主体ごとに記録した統計という解説がある。

誰でもこの統計はinternet   で入手できる。Spread Sheet(EXCEL)formatで出来ている。

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どのような手段でこのデータが把握できるのか、分からないが、中々数字は細かく出来ている。日銀様のご意向には逆らえないから、各銀行、各政府機関、その他の機関も協力を惜しまずという様子が窺われる。

私もdownloadして中を覗いた。

ところが、ど素人の悲しさでよく分からない。日銀はこの説明書を提供しているが、読んでもよく分からない。

いや読む気にさせない文章で、読んでもいないのに、分からないというのは気が引ける。経済主体,計数、調達、運用、その他、とっつきにくい用語が使われていて、何とかならんかい、といいたくなる。

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この資金循環統計は、今までの紙幣発行高累計残高は載せていない。

目的が違う。

カネは天下の回り物という古言があるが、それをデータ(計数)で見せようというのだ。

フローとストックで政府、金融機関、個人の家計(経済主体)にどのようにカネが回っているか、を追跡するというわけだ。

企業で言えばこれは、損益計算書と貸借対照表に相当する、と言っても良いようなものだ。損益のかわりに、資金過不足という。また資金の統計であるから資産と言っても、土地、建物、機械などという固定資産は埒外である。

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くだくだ書いてきたが、私なりにこの統計から理解したことをまとめよう。

2009年末で5831兆円が、この統計の示す金融資産の総額だ。これが今までの日銀券発行累計額ではないようだ。

通貨はこの金額以上に発行されているのか、いないのかは、発行累計額がはっきり私には分からないから、なんともいえない。もしかしたら各家庭の、畳、じゅうたん、床下、天井、庭の穴にもあるかも知れない。

埋蔵金は、どうなっているか、これも分からない。

株式も含まれているし、時価で評価しているというから、もともと通貨発行額累計と合致しない。

家計資産つまり貯金、預金、保険金が金融機関、保険会社に債権として計上されている。

家計資産の合計は1453兆円である。これは総額資産5831兆円の25%になる。

一般政府の負債の内訳の図表を見ると、2009年末で1000兆円である

国債は、834兆円を占める。一般政府には地方自治体も含まれる。尚、家計には自営業も含まれる。

政府の負債と家計の資産を比べると、家計資産のほうが、500兆円あまり大きく、国債はまだまだ、発行できると、考えてはならない。家計だって、負債はある、300兆円以上ある。だから正味資産は1100兆円と見る。同じように、政府のほうも資産がないわけじゃない、これが、いくらあるのか、よく分からない。無責任な書き方だが、これが私の限界である。

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統計がスプレッドシートで提供されているのは、利用者が、自由にEXCELというものを使えれば、加工して、つまり足し算、引き算して利用者なりの演算を可能ならしめるということらしい。

このスプレッドシートのほかに参考図表というものがあり、これはこれで、見やすい。だが、参考図表の数字と、スプレッドシートの数字と、どうつながるのかは、どうも専門家の領域のようである。

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I Watanabe 2010-09-02

(4)に続く


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コメント 1

ぼくあずさ

渡辺さん 貴兄の解説を拝読して、とても私の能力を超えていることが理解できました。高級熱計算やを自認していた私も、これで大学に経済学部がある理由がなんとなく分かりました。処で、経済を勉強した者は、理解できるのでしょうか。それとも、昔は資金循環統計などという言葉さえ無かったのかもしれません。
小沢元幹事長は、「カネは天下の回りもの」の本質を悪用して、至る処にカネが流入するダム作りをしてきた後世に名を残す土木建築やなのかと思います。
by ぼくあずさ (2010-09-04 16:48) 

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