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中国海軍、知られざる軌跡 -5 [稲門機械屋倶楽部]

                2010-07-26 WME36 村尾鐵男

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Brown Water NavyからBlue Water Navy 

Brown Water と言うよりはGreen Water と呼ぶのが一般的でありますが、沿岸の浅海域を示す言葉で、中国海軍は沿岸警備の域を長く出ることができず、 Brown Water Navy と呼ばれていました。元来はヴェトナム戦争中にメコン川を上下する警備艇とメコンの茶色の水から名付けて Brown Water Navy と呼んだのが始まりのようで、黄河の茶色の水と揚子江の醤油色の水は海にも流れ出て海面の色を茶色に染めているので、中国海軍については Brown Water Navy と呼ぶのが相応しいと私は考えています

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しかし、経済成長著しい中国は Brown Water Navy からBlue Water Navyへとその海軍を拡大させようと必死です。

大陸国家の海軍は領海内の制海権維持と警備に留まるが常で、その外へ出ると必ず海洋国家の海軍に叩かれ追い払われるのが常でした。加えて中国海軍には声に出したくない屈辱と負い目があります。蒋介石の国民党が台湾へ逃れた後の1958年(昭和33年)、金門・馬祖島の争奪戦で中国海軍は台湾海軍に為すところなく撃退されて敗北し、その後に幾度かの戦いを挑んではいますが、その都度、台湾海軍とその背後に控える米第7艦隊に追い返されていて、中国沿岸から眼と鼻の先に在る金門島と馬祖島は依然として台湾領になったままです。又、中国共産党政権は台湾を手中に収めるための武力発動を否定せず、恫喝を繰り返していますが、120kmの台湾海峡を渡って攻め込むだけの海軍力は少なくとも現在は事実上ありません。これに加えて、フィリピンやヴェトナムと領有権を争う南沙諸島、日本と争う尖閣諸島があり、さらに海底資源の渉猟もあって、中国は海軍力の拡大増強を急いでいます。2年ほど前に読んだ新聞記事のうろ覚えですが、米国海軍の高官が議会の公聴会で証言し、中国海軍はハワイを境にして、東を米国に任せ、西半分は中国の勢力下に置こうと企図していると言っております。

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ロシア極東艦隊、ウラディオストックを根拠地とする帝政ロシア時代からの艦隊ですが、太平洋へ出ようとすると日本列島が妨げとなり、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡の三海峡を抜けるときにその動静が知られてしまいます。

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中国海軍も同じで、沖縄から台湾、フィリッピンと連なる島嶼が太平洋への進出には邪魔になります。この線を突破できれば、ハワイまでは自由に振舞えると考えているのでしょう。その証拠に、最近では奄美大島から沖縄諸島の間を抜ける中国海軍の艦艇が増えています。日本は紛れもなく海洋国家であり、日本周辺の海は常に日本の監視下に置き、且つ日本の勢力圏としておかなくてはなりません。

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余談ですが、Blue Water Navyである海上自衛隊と米第7艦隊の潜水艦は黒く塗られており、ドイツの潜水艦は灰色に塗られています。太平洋と大西洋では水の色が違うからだそうです。

(6)に続く


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