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アリとキリギリス [軽井沢だより]

Martin Wolfという人がFinancial Timesにイソップの寓話を引いて、現在のユーロ危機のことを書いていた。

Chermanyはアリだ、Gremericaはキリギリスだという。中国、ドイツはアリ、ギリシャ、アメリカはキリギリス。

備えを怠った国が、せっせと先の憂いに備えた国に助けろといっているのが現在の状況だといっている。

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Martin Wolfは英国の人だ。英国はユーロに加盟しなくて良かったのかどうか、わからないが、昔EECだったころか、ERMという仕組みがあって、英国はひどい目にあった。統一通貨ではなかったのだが、加盟各国はある幅の範囲で、為替レートを調整する仕組みがあった。

そのときGeorge Sorosが、ポンドに攻撃をかけて、莫大な利益を得た。英国はERMを脱退せざるを得なくなった。

これが今になっても、ポンドが存在しつずけている理由なのだと、理解する。これは、私の中途半端な理解でWolf氏は関係ないが。

財政をコントロールするメカニズムが無いのに、通貨を統一するのは、無謀だという主張を読んだが、そしてこれが英国の立場だと、理解している。そうして見ると、今の状況は、この立場が正しかったと証明しているようだ。

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しかしEUは、経済的な統合だけではない、政治的な統合、第二次大戦のような戦争を2度と起こさない、と言う理想を目標としているから、後戻りは出来ないのだ。

どうもキリギリスもアリも無い、出来の悪いやつも、ひっくるめて前進しかあり得ない。いやそれとも、この際、落第生の一人や二人、仕方がないのか。

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ところで、このWolf氏のイソップを引き取った論説が、ほかにあった。誰が書いたか忘れたが、その中で、日本はアリの分類になっていた。これは、私には、ひっかかる。

なるほど、経常収支という貿易の勘定では、ドイツ、中国に引けを取らぬ、でも、財政収支ときたら、最悪だ。

借金は外国からしていない、といって、威張っていても、国民の蓄えを担保に、また国家資産もあてにしている訳で、国民というアリだって、そうそう、いくら一生懸命働いても追いつかないのではないかと、心配だ。

おまけに、この日本アリの政府は、変なことに、キリギリスじゃないか。蓄えがあろうが、あるまいが、どんどんアリさんよ、どんどん、使いなさい、このお前さんの稼いだ貯金だから、と言っているような政府だ。

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この20年来,キリギリス政府が,続いて、今度のキリギリスは、もっとも性質が悪いような気がするが、しかしこう長く続くと、ひょっとして、アリだ、アリだといっている選挙をしてきた国民も、実は、キリギリスじゃないのと、身らを振り返る必要があるのでは。

                                             I.Watanabe 2010-05-31


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コメント 2

村尾鐵男

I. Watanebeさんへ
お恥ずかしいことですが、私はEUとEUROを基本的に理解できておりません。EUは観念的には独仏が再び戦うことがないように諸々の歯止めを掛けた組織だと理解しています。でもEUROはもっと判りません。EUROの紙幣と貨幣は誰が、或いはどの国が発行しているか。EURO紙幣を持ったことがないので知りませんが、EURO紙幣には発行国が記されているのでしょうか。特定の国家としての実体がないEUROが如何にしてその価値を維持するのか、自分で調べるのも億劫で、不思議なままです。
私の記憶違いかもしれませんが、欧州が再び戦場とならないように、EU加盟国は軍事予算を国家予算の3%以下に収めるよう義務付けられているとのことです。しかし、ギリシャでは軍事予算が国家予算の5%を越えていたとの新聞記事を読みました。ギリシャの仮想敵はトルコらしいのですが、いささか信じ難い思いです。
脈絡の無いコメントで失礼しました。今は日本の政治が"面白く"て、他のことには目が向きません。
by 村尾鐵男 (2010-05-31 13:13) 

I Watanabe

村尾さん、私のEU,EUROの知識は、恥ずかしい穂ほど貧弱でなんとも、コメントに応えようがありません。
どのように、EUROがその価値を維持するのか、と言う疑問はキーだと思います。ECBという中央銀行にその義務があるのか、それとも何かほかに、と考えると、想像もつきません。価値というのは為替相場を意味することになるのかと、思いますが、今EUROは下落していて、それをどうする、こうする、やっている。ECB,それからドイツが先物の売買を制限したとか、報道されています。
でも、今のところあまり効果がないとも報道されています。市場の力のほうが強いとか。それとも、ECB,各政府の影響力を見透かされているのか。
財政規律についてのルールは、GDP比3%以内の赤字というのがあるが、実のところ、これが守られているのは、数カ国で、期間的に見ても、達成された期間は、あまり自慢できないとも、どこかで読みました。
他山の石のつもりで、いつも今回のような、いわば、世界的な影響を及ぼす、外国の情勢に興味を持っています。
by I Watanabe (2010-05-31 16:55) 

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