我が愛すべきぼろ車達(4) [安曇野だより]
・・・・・下山成人 書き下ろしエンジンが正常に動き出すまで30分以上も掛かったのである。いかし、やっと動き出したと思ったら山道は益々急になり15分も登ると再びベーパーロックに見舞われた。今度は何とか早くエンジンを冷やすため3人手に手にビニール袋を持ち道路脇の登山道を谷まで下りて行き水を汲んできてはエンジンにかける。こんな作業を頂上に着くまでに4・5箇所で行いやっとのことで美ヶ原に着いたときはもう暗くなっていた。美しい筈の景色も見ることが出来なかったのである。
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今では松本から美ヶ原への道は舗装されていて(あたりまえだ)3・40分で上まで行けるのに我が愛車ダットサンは10時間も掛かったのであった。その翌日は松本から東京に向かった。国道20号は殆ど舗装されていなかった。しかも伊勢湾台風の傷跡がいたるところで見られ道路は何箇所かで分断されていた。一箇所は橋が流されたままで川を渡るには川の流れの中を進まねばならなかったのである。我ら3人裸足になって流れの浅いところを探す。一番条件の良いところで幅約7メートル水深約15センチ程の所が見つかった。 川底はぼこぼこした岩である。.
こんなところを我がぼろ車は無事渡れるであろうか? 自信はなかったがここを通らなければ東京へは戻れない。運転する人間以外は外に出ていざと言う時に車を押す準備をする。イチカバチで車を川に突入させた。天への祈りが効いたかぼろ車はこの難所を突破したのである。何時間掛かったであろうか我々は夕方八王子にたどり着いた。八王子の町でちょっと車から出てタイヤを見て驚いた。四つのタイヤ全部磨り減ってゴムの部分が薄くなり下の布地が覗いていた。正にご苦労様我がダットサンであった。
(5)に続く
2009-06-18 03:52
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