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「太陽エネルギー考」(渡部昇一著、「倫風」(2011/11)の紹介 [明治維新胎動の地、萩]

                 By N.Hori 


上智大学名誉教授の渡部昇一さんが、常識的な意見を書いていますので、紹介します。

自然エネルギーへの期待が膨らんでいるが、私もかって、太陽熱温水を家庭で利用したことがある。もう40年も前のことだ。知人が家で屋根に黒いビニールの袋を並べてお風呂のお湯を沸かす設備を付けたら具合が良いというのである。我が家でも付けてもらった。


意外に熱いお湯が出るものであったが、長続きはしなかった。天気の悪い日はそんなに熱くならないし、夜はお湯が出ない。夏の風呂は、極端に言えば冷水のシャワでもよいが、冬は熱い風呂に入りたい。ところが冬になると熱い湯が出てこないのである。
というわけで1年もしないで設備を取り払った。工事費は大したことはなかったが、屋根の瓦はだいぶ傷んだようだった。

今、話題になっている太陽光発電のパネルはそんな幼稚なものでないことは分かっているが、夜は大丈夫だろうか。梅雨や時雨の時も大丈夫だろうかという疑念が去らない。そんな時に九州のリニアモーターカーの実験線跡に作った太陽光発電は失敗に終わったことを聞いた。パネルが火山灰や砂により覆われ、発電できなくなったという。火山灰を全部綺麗にするには時間や費用が膨大になるという。


雪国生まれの私は、冬の雪下ろしを連想した。雪国では屋根に積もった雪を人の力で下さなければならない。屋根の雪は放っておけばだんだんずり下がって軒を折ってしまう。だから軒より上のほうに丸太で雪止めをして、軒にずり落ちないようにする。雪止めの上に積もった雪をスコップなどで下すのが雪国の住人たちの大仕事なのである。雪下ろしは高齢者にはきつ過ぎる労働である。無理に屋根に上がったが、下ろす雪と一緒に落ちて死んだ老人の話も時々聞く。


太陽光から発電するために、普通の家や工場の屋根にパネルを張ることになるであろう。
垂直に立っているガラス窓でも1年もすれば、随分と汚れる。屋根に置くパネルは水平に近いので、物凄く塵や埃や砂や大陸から飛んでくる黄砂も積もるだろう。発電の効率を維持するには表面を綺麗にしておかなければならないはずだ。何か月に1度クリーニングが必要となるだろう。その費用はどのぐらいになるのであろうか。一般の家では、自分でクリニングしなければならないのではないのか。屋根に上がった素人の何人かは必ず落ちるであろう。

その内に何人かは死ぬか、重傷になると思われる。年間、自動車事故の犠牲者に匹敵する数の犠牲者が出るのではないか。
米、中、産油国など多くの国々が原発を進める中、反原発を進めている主要国は日独伊を見ると、70年前の三国同盟を連想してしまうのだが。
                     完


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ぼくあずさ

FDは風力、波力、燃料電池、ソーラー、温水器、バイナリー発電、水力、地熱などを手掛けたが、社会に貢献できているのは昔からある水力と地熱の二つ丈でした。温水器は大企業がやるような商品ではありませんが、太陽熱をそのまま熱利用する点で利用価値があると思います。

3・11後に企業が競って導入した非常用発電設備の大半は、使われることなく撤去されるでしょう。

安定した電力を得ることはとても大変なことです。多くの政治家が誤解しています。原発反対、発送電分離など囃し立てる菅・枝野は工業国家日本の生命線である9電力体制を破壊させる重罪人です。
電力業界の優秀な技術者たちが中韓に引き抜かれている現実を直視すべきです。
by ぼくあずさ (2012-07-16 17:06) 

村尾鐵男

パネルが普通に汚れるだけなら定期的に、おそら三ヶ月おきに洗えば太陽光の透過率はそれほど下がらないでしょう。でも、欲張って屋根前面にパネルを載せてしまうと、足の置き場がなくなり、危ない姿勢で誰かが落ちるでしょう。
一方、西日本では中国から飛来する黄砂でパネル表面が傷みます。黄砂には硫化物が含まれていると推測しますが、これがガラスやウレタン系樹脂板の大敵です。
ぼくあずさ氏御指摘の通り、頼りになって安定電力を供給してくれるのは水力と地熱(含:バイナリー方式)だけでしょう。強いて加ええれば潮力発電でしょうか。
ところで、かねがね不思議に思うのですが、今や安物パネルの一大供給地と化した韓国や中国で、何故、太陽光発電が話題にならないのでしょうか。春夏は黄砂、秋冬は煤煙でパネルが使えないのか。自国製品が直ぐに故障するので信用されていないのか。国内販売では政府補助が効かず高価なのか。
親中親韓政権は何も言わず、国民が騙されているのではないかと疑います。
by 村尾鐵男 (2012-07-16 18:22) 

N.Hori

rtfkさん、アルマさん、niceを有難度うございました。ぼくあずささん、村尾さん、コメントを有難度うございました。
by N.Hori (2012-07-17 06:59) 

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