SSブログ

「機械科100周年記念式典関連」報告 -4/5 [明治維新胎動の地、萩]


創造理工学部総合機械工学科菅野重樹教授の論文、「実用化を目指した知能ロボット技術」の紹介
                                                    .by N.Hori 

機械の知能化やロボット技術は、生産システムなど多くの機械で使われています。これからは、生活支援やモビリテイといった人間に密接した機会にも応用されるでしょう

1985年のつくば科学万博で発表した鍵盤楽器演奏ロボットWABOT-2以来、人間とロボットとの関係、機械の巧緻性・知能化が研究の柱になっています。その後、これらの要素技術を生産システムなど実用的な機械へ応用すること、単独の機械だけでなく環境ごとロボット化することなど、研究領域を広げてきました。


1999年には、人間共存ロボットWENDYを発表しました。WENDYは人間から押されても柔らかく受け流すことができ、世界で初めて、しかも唯一、卵を割れる巧みさを備えたロボットでした。これを可能にした技術は、プログラムによる制御や知能ではなく、圧力調整が出来る指の形状設計にあります。


機械の機能、知能を考える時に、いかに「形」が重要かを示している典型例です。このWENDYを進歩させたのが2007年に発表したTWENDY-ONEです。人間を支えることが可能な十分な力を出せるのと同時にきわめて巧みであり、さらに安全に人間に追従する「柔らかさ」を有し、安定を維持しつつ全方向への移動が可能なモビリテイも備えています。


TWENDY―ONEは人間共存としての機能を現在の技術で最大限発揮できるように、7年間にわたる企業との共同研究開発により達成した成果です。TWENDY-ONEは、世界で真に人間共存ロボットと呼べる最初のプロトタイプだと言えます。これからは、実証実験を重ねて、実用化に向けた必要なスペックを追求することが課題です。

一方、人間を究極の機械とみなし、機械がどこまで人間に近づくかを考えることは、古来からの人間の夢でもあり、崇高なそしてライフワークともなる研究課題です。


今日の機械技術とコンピュータ技術との結びつきを基に、生命的な発想での機械設計は、単なる機械設計の方法論探求に留まらず、人間の心や感情そして知能の本質を探究する学際的な分野です。そのためにWAMOEBA(早稲田のアメーバの意味)ロボットシリーズの研究を行っています。自己保存や好奇心といった生命の本質と機械設計を結び付け、知能や感情の発生を明らかにすることが研究課題です。


これらの要素技術を応用することで、最近では、農業ロボットや双腕建設機械の知能化にも取り組んでいます。それらの研究の基本は「ものづくり」そして「動かなければ意味が無い」にあります。最先端でありながら実際の役に立つ実用的な機械システムの設計論を確立することを目指しています。

nice!(9)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 9

コメント 4

村尾鐵男

ロボットなる言葉、或いは呼称がよくありません。飛行機の自動操縦システムも近頃流行の無人機もロボットです。ところが、学生達を集めて走ったり登ったりのロボットを作らせ、これをTVが面白可笑しく見せる見世物と化して、ロボットの真の価値が世間に正しく伝わっていません。
福島第1原子力発電所の事故のとき、あの現場に小松製作所が製造している無人ブルドーザーが配置されていないと知り私は驚きました。もし無人操作のブルドーザーがあれば、放射線で汚染した廃棄物を掻き分けて建屋内へ測定器等を運び込むことができました。
出動した米軍は現場上空に無人機を飛行させて写真を撮り、放射線の量も観測しています。
東電の技術者がロボットへの正しい認識を欠いていたのか、あのような事態は起きないと思い込んでいたのか。ともあれ、ロボットは既に私達の身辺に多数が存在します。
ロボットを高級な玩具とせずに、工学分野でさらに発展させることが期待されます。
by 村尾鐵男 (2012-05-06 08:19) 

ぼくあずさ

村尾さん
まったく同感です。
by ぼくあずさ (2012-05-06 09:38) 

N.Hori

あゆさこさん、裏・市長さん、海を渡るさん、馬爺さん、おお!次郎さん、アルマさん、くらいふさん、rtfkさん、vivianeさん、niceを有難度うございました。
by N.Hori (2012-05-24 21:09) 

N.Hori

村尾さん、ぼくあずささん、コメントを有難度うございました。
by N.Hori (2012-05-24 21:11) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。