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夢を追う男たち -16/18 [北陸短信]

.                                                                       by 刀根 日佐志

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                               (四)

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荘一は四枚目の写真を手に取った。

真昼も薄暗い高層ビルの谷間には、人通りが途切れることはない。前面を太い数本の柱で支えた石造りの建物で、その上段に歩いている者、伏せている者、何かを説いている者の男女、子供達の彫像が飾りとなり埋め込まれていた。何を意味しているのか判然としないが、この街、発祥の歴史を意味しているのではなかろうか。有名な建物かもしれない。いやニューヨーク証券取引所ではないだろうか。ここはウォール街だ。

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窓に取り付けたアメリカの国旗がはためいて、前の道路には樅の木が植えられていた。その木に豆電球が、無数に点けられていたので、クリスマスの時候であろうと思われる。街行く人は、厚いコートを着用し忙しそうに歩いている。

そこに茶色の防寒コートのポケットに手を入れて、佇んでいる六十歳位の男がやや斜めを向いていた。相当着こなしたと思われるコートは、厚みを失い萎れ、汚れている。その身なりは、曇り空の薄暗い雰囲気を吸い込み、彼を貧相に見せた。その分、大きな長い顔は、くっきりと浮き出て、大袈裟に見える。

禿げ上がった頭髪まで傾斜している額、太い睫毛と眉間の大きな二本の皺、物を凝視する鋭い目が際立っている。横顔は、短絡的で小心者だが強情で、軽薄で野心家に見えた。

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荘一もニューヨークに行き、マンハッタンで用を済ませ、それから歩いてウォール街に立ち寄ったことがある。

マンハッタンで訪ねたのは世界貿易センタービルである。八四階まで行き北空銀行の支店長に会った。


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