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夢を追う男たち -14/18 [北陸短信]

.                              by 刀根 日佐志

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韓国から富山へ戻ると、荘一は〈燃料節減装置〉を見に長野県へ、長柳竜太郎を訪ねることにした。

 途中、道が分からず、通りすがりの若者に長柳鉄工所を尋ねた。

「あの発明爺さんの会社ですね。直ぐ近くですよ」

近所では有名らしくその若者は丁寧に道順を教えてくれた。

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工場の重い鉄製扉を開けると百坪くらいの作業場が見えた。鉄板やパイプが散乱するなかで十人位の作業員が働いていた。その片隅に間仕切りで囲った十坪くらいの事務所があった。そこで社長の長柳に会うと、相好を崩し荘一によく長野まで来てくれましたと、握手を求めてきた。それから熱っぽく語り始めた。

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昔から雨の日は、自動車エンジンの調子が良いと言われている。これに着目した彼は、ボイラ燃料の重油に水を混ぜて燃やすと、何故か完全燃焼して、燃料が節約できるという研究に昼夜没頭した。諺にもあるが「水と油は混ざらない」を如何に混ぜるかに、技術の核心があったと彼は強調した。

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彼の顔を興味深く凝視した。荘一は、とうとうと語る顔と話し振りから、彼の性格が読み取れたような気がした。

顔の輪郭は、頬の辺りで膨らみ飛び出ているため、細長い顔を幾分丸く見せている。鼻から口に至る極端に深い溝は、口を長く見せている。加えて目も大きいので、顔全体を大きく誇張しているようだ。

特に、鼻から口に至る極端に深い溝と、眉間と額に二本ずつある縦横の太く深い皺は、顔の印象を野心家にみせている。大胆で、気性が強く、独善的で、決めたことは一方的に実行する。したがって、引き下がることをしない。彼は柔軟な思考に欠ける経営者であると荘一は考えた。


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