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夢を追う男たち -11/18 [北陸短信]

                                .by 刀 根  日佐志

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「では、たびたび、韓国へは行かれるのですか」

「……」

「私はこういうものです」

荘一が名刺を差し出した。

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その男から名刺をもらうと長柳鉄工社長、長柳竜太郎と書いてある。

長柳は隣席の革ジャンを着た男を、親戚の者で俺の用心棒だとニコリともせず紹介した。荘一は笑顔で頷いた。

「ところで何の装置を開発したのですか、ご苦労されたでしょう」

荘一は、開発に挑戦する長柳に、尊敬の念をこめて話をした。

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長柳は人に接する態度は、ぶっきらぼうで愛想が良いとは言えない。生来の無愛想な者が人と接する機会が多くなると、その殻から抜け出て、少しは改善されることになる。彼はその過程にあると、荘一は好意的に考えた。でも世に言われる「技術バカ」の側面があり技術の話になると、そんなことは超越する。

先程までは、煩わしそうにしていたが、見開いたまぶたから黒目が光り始めて、荘一を見詰めた。

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「こいつに話しても解らないと思っていたが、少しは話が解りそうな奴である」とでも言いたげな彼の目は、輝きを増した。

「重油に水を混ぜ、燃料節減が出来る装置を開発したのです」

彼は得意満面の笑みを見せた。さらに強調するように声を強めて付け加えた。

「油に水を混ぜることには、たいへん苦労しました」

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実験を進めるが、結果が出ない、一方、時間は勝手に過ぎ去る。底を尽く費用、眠れぬ毎日、荘一には容易に想像が出来た。彼の顔に現れた傷と数本の深いしわは、その労苦を克服した証のように思われる。

またあの火傷の跡は、実験中に火炎を浴びた災難によるものだと容易に推察できた。


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