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シアトル便り(第6話) 旧友との再会(2) [安曇野だより]

                                                     .by 下山成人

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シアトルに着いて3週間が経った頃、新生児用品を買いにワシントン大学そばのショッピングセンターへ娘と家内を車で連れて行くアッシーの役を仰せつかりました。女性の買い物の付き合いは大変疲れるものです。そこで思いついたのがそのショッピングセンターから1マイルも離れていないところに住んでいるポールのことでした。ポールは私が留学して初めて入った下宿で一緒だった香港からの留学生でした。女性軍は間違いなく2時間以上は買い物をしています。その間にポールのところへ行って昔話をして来たいと言うと彼女達は「それはこちらにとっても都合がいいわ。一緒についてこられると落ち着いて買い物ができないもの」と大賛成です。

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日本を出る前にメールで電話番号は訊いてありました。ポールに電話すると今日は家に居るから是非訪ねて来てほしいとのことです。ポールの住んでいるコンドミニアムはすぐ見つかりました。コンドミニアムの下で電話をすると直ぐ降りて行くから待っていてくれとのこと。暫くすると正面入り口のドアを開けてポールが現れました。頭こそ白くなっていましたが顔は日に焼けています。歩き方もすきっとして健康そうです。アメリカ流挨拶のハグをし合うと一気に47年前の友人同士に戻りました。4階の彼の住居に案内されると奥さんのリーがにこにこして迎え入れてくれました。リーに会うのは初めてでしたが毎年もらうクリスマスカードが夫婦連名で来ていたので初めて会ったような気がしません。

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昔の思い出話や47年間お互いに何をしてきたかを話していると2時間はアッと言う間に過ぎてしまいました。最近の話で面白かったのは彼のところにNHKの大河ドラマ“篤姫”のDVDが置いてあったことです。字幕が英語でついているそうでとても面白く勉強にもなると言っていました。何でも“篤姫は香港で大人気だったそうで親戚が是非見なさいと言って送ってきたとのことでした。又機会があったら来るからねと言ってポール家を後にしたのは2時間を少々過ぎた頃でした。

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一か月が経った頃、別の知り合いに会いに行く機会が訪れました。シアトルに引っ越してすぐにIKEAで買い揃えた家具の中に返品しなければならないものが出てきたのです。IKEAはシアトルの郊外KENTの町にあります。そのKENTにはワシントン大の先輩Mご夫妻が住んでいます。IKEAから車で5-6分のところです。この機会を利用しない手はありません。M氏はシアトルで我々の婚約パーティーを開いてくれた方です。 結婚式を挙げなかった我々には仲人のような方でシアトルに来たら他の人はともかくM氏ご夫妻には何とか時間を作って挨拶に行かないとねと家内と話していたのです。ご夫妻とは十年ほど前に来日された時にお会いしているので10年ぶりの再会です。  IKEAから電話をすると家に居るからいらっしゃいとのこと。カーナビを頼りに5-6分走ると    M氏夫人が表に出て手を振っているのが見えました。 M氏が78才、夫人が75才です。お子さん達は皆立派に成長されて出て行かれ今ではご夫妻だけで暮らしてみえるということでした。昔親しくしていた知人達の消息を伺うと亡くなられた方、身体が不自由になられた方の話が出て寂しい気持ちになりました。ご夫妻も自分達のお墓を買ってあり、時々掃除に行っているとのこと、別れ際に「会えるのもこれが最後になるかもね」などと言われいつの間にかそんな歳になったのかと考えさせられました。
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