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シアトル便り(第3話) [安曇野だより]

                                                                        ・・・・・下山成人記

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今日はシアトル便りと言っても隣町のベルビュー(Bellevue)の話です。娘の家の居間から見えるワシントン湖のFloatingBridge(浮橋)は私にとって思い出の深い橋です。完成したのが1963年で私がワシントン大学に留学していた時でした。橋の向こう側がベルビューの町でたまたま私のホストファミリーのデイビッド夫妻の家がありました。橋の完成を報ずる地方紙に「ホストファミリーが近くなり喜ぶ留学生」として私の写真が載ったのでした。

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当時のベルビューはスーパーマーケット以外大した建造物もない閑静な住宅街だったのですが今では湖畔にビルゲーツが豪勢な邸宅を構え、町の中心街にはMicrosoftやインターネット通信販売で有名なamazon.com等の躍進のおかげでしょうか高層ビルが立ち並んでいます。ベルビューは行政上シアトルでないかもしれませんが私の思い出の中ではシアトルの一部です。先日数時間の自由時間が出来たので留学時代世話になったホストファミリーのデイビッド夫人アンを訪れることにしました。アンは夫のハリーが数年前に亡くなり未亡人となっています。湖畔にあった素敵な住宅を売り払い今では隣町の老人ホームに住んでいると知り娘の車を借り訪ねて行きました。

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娘の車のカーナビには教えられた住所が載っていませんでした。そこで前もってGoogleEarthでプリントアウトしておいた地図を頼りに出掛けることにしたのです。歳のせいで目が悪くなっている上に慣れない車に初めての道ばかりで何度か道を間違えます。特にハイウエイで出口を見過ごしてしまうと元に戻るのに大変苦労します。 戻ろうとするとOne-way, One-wayの連続でなかなか元の方向に走れないのです。こんな間違いを何度か繰り返し目的地に着いたのは予定していた時間より30分以上も遅くなっていました。メインロビーで待つこと暫し、アンが入って来ました。アンと会うのは10年振りです。90歳になったそうで少し耳が遠くなり視力もだいぶ衰え以前のようなきびきびとした身のこなしは見られませんでした。それでも施設内を案内しようと言って歩き出しました。

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コミュニティーホール、図書室、食堂、園芸の好きな人用のグリーンハウス、温水プール、フィットネスクラブ、卓球室そしてさまざまな趣味のためのクラスルーム等です。ショートゴルフコースも付いています。老人ホームなどという言葉はどこにも出ていません。入居者の住まいはコンドミニアム形式でアンのところは2ベッドルーム、2レストルームそして書斎とこじんまりとしたリビングルームも付いています。亡くなったご主人と一緒に移り住んだということでしたのでこのくらいの広さは必要だったのでしょう。立派なキッチンも付いています。好きな時に自分で食事を作るのだそうですが一日一食分は管理費に含まれていて昼食か夕食好きなほうを選び食堂に食べに行くのだそうです。朝食は食べたければ食堂で5ドル払うと結構いい食事が出るとも言っていました。小一時間程アンのリビングルームで昔話に花を咲かせ80歳までスキーをし、88歳まで車を運転していたというアンの長寿を祈りながらお暇したのでした。帰路ベルビューの町を抜け思い出の浮橋を渡る頃は真っ赤な太陽がワシントン湖の西に沈んで行くところでした。


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村尾鐵男

私が始めてシアトルを訪ねたのが1964年10月でしたから、その頃既に下山さんは彼の地におられたのですね。
ニューヨークからシアトルへ着いて、何と田舎かと思いながらもほっとし、又、ホテルの朝食が安いのに驚きました。値段を覚えていませんが、ニューヨークのトーストとコーヒだけの朝食と同じ値段で、シアトルでは薄いステーキが出されたのを記憶しています。
by 村尾鐵男 (2011-07-16 18:02) 

ぼくあずさ

シアトルのヨットハーバーで食べた3種のカキ、的矢に劣らず。
LOSから予定外の出張、寒さに震えた記憶がある。雨が多く
黒人がいない。確かにウエイトレスは金髪の北欧系であった。
by ぼくあずさ (2011-07-16 21:01) 

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