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愚策:一千万戸の屋根にソーラーパネル [稲門機械屋倶楽部]

                                   2011-05-27 MWE36 村尾鐵男

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 首相菅直人はG8出席に臨んで「一千万戸の屋根にソーラーパネル」と、これまた唐突に宣言しました。

 私の家の近くに、屋根にソーラーパネルの設置したお宅が数軒あり、それを眺めて判りましたが、普通の住宅の屋根に載せられるソーラーパネルの面積は高々30㎡です。一千万戸の総ての屋根に載せても、ソーラーパネルの総面積は3億㎡です。

 誰の入れ智恵で、首相は「一千万戸の屋根」を思いついたのか知る由もありませんが、一般家屋の屋根は傾斜があり、ソーラーパネルが常に太陽光に正対する時間は限られ、ただでも低い発電効率がさらに低下します。1㎡当りの太陽光エネルギーは凡そ1,000Wですが、現在の市販パネルの実効効率は15%ほどでしょう。

 しかも、一千万それぞれのソーラーパネル発電システムを送電システムへ連結する装置と配線工事を必要とします。

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 突飛な数字ですが、日本の鉄道総延長はJRがほぼ2km、私鉄が7km、合計27kmです。鉄道は単線、複線、複々線とありますが、線路の軌道敷の巾を平均的に10mとすれば、軌道敷の総面積は2億7千万㎡になります。この軌道敷の上にソーラーパネルを設置したら如何でしょう。

 正確な数字が手元にありませんが、トンネル部分を除いても、少なくとも2億㎡のソーラーパネル設置面積が得られます。

しかも、軌道敷の上に屋根のように設置するソーラーパネルは、広大な駅舎の屋根も含めて、太陽光照射角に対する傾斜角を適切に保つことも可能でありましょう。

一方、鉄道車輌も雨に濡れずに走ることが可能で、自然劣化を防ぎ、保線作業も楽になります。さらに、鉄道会社は一般家庭に較べて、電力の扱いには精通していて経験も豊富ですから、「一千万戸の屋根」の総面積より少なくても、発電量は格段に上廻るでしょう。

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「一千万戸の屋根にソーラーパネル」は元々が愚策に近い思いつきですが、愚策なら愚策なりにもう少し智恵を出したいものです。

(了)    
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ぼくあずさ

村尾さん 色々とアイデアが豊富ですね。 処で、貴兄は設置場所としては申し分ない空港建屋の屋上に、風力発電機を設置して1年間運転データをとられたと記憶しております。しかも、日本は風が弱いので風力発電に適していないと結論ずけました。処が、太陽光発電は夜間はゼロ、雨や曇りでも殆ど発電しない。しかも売電する電力系統の電圧が高くなれば、送電できない。私が30年ほど前に米国の砂漠で運転中の2形式の大規模な太陽光発電設備を見ましたが、現在は大型風力発電が有利だと言われています。ドイツも海上大型風力発電が数日前に運転開始しました。太陽光発電は止めています。なぜ、今ごろ20兆円も投資して、原発の発電原価の10倍の太陽光発電の発想が出てくるのか?中韓の首脳から、圧力があったのかと疑います。
by ぼくあずさ (2011-05-27 21:06) 

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