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やぶにらみF1(福島第1原子力発電所)論 -4/6 [稲門機械屋倶楽部]

                                       201105-18 WME36 村尾鐵男

                     

政産官学・複合体の原子力発電所

 日本の原子力発電所は政治、産業、官僚、学者の複合体によって次々と建設されました。戦後復興の御旗を振ったときに、最大の弱点が電力不足でありました。

 安価な電力を安定的にほぼ無尽蔵に供給できる原子力発電が現実になったからこそ、私達の家庭でも、停電を心配することなく、望むだけの電力を消費することが可能になり、一方では質の高い電力が産業界をも潤し、日本人全体の所得水準を向上させて一億中流化に貢献しました。

 これは総て、「政産官学」複合体のお陰です。通常は産学複合体とか産官複合体と言いますが、政治家も加わった「政治・産業・官界・学会」の四者が結束すれば、これほど強いものはありません。

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 不謹慎な言い方ですが、原子力発電所を建てさせた地元も潤いました。手元に数字がありませんが、今までにどれほどの巨費が地元に投じられたのでしょうか。

 原子力発電所と普通の火力発電所や水力発電所が立地する近辺の町村を比較すれば一目瞭然の違いが見えます。目に見える違いだけではなく、地元に振って湧いた雇用創出にも目を見張るものがあります。

 何しろ、「政産官学」が一体になって推進し、特に政治の世界では、僅かな少数政党を除いて、原子力発電所建設については挙国一致の翼賛政治ですから、反対の強い声が上がるはずがありません。

 今、F1が停止し、近い将来に再稼動の可能性もありません。被災地では瓦礫の始末や流失した家屋の復旧が優先していますが、F1が存在するが故に潤った諸々の条件も消失し、雇用も大部分が消失しています。

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 首相菅直人とその閣僚の思考と行動を眺めていると、「政産官学」複合体を解くか解くまいかと迷っている節が垣間見えます。大半の国民には知らされていなかった「政産官学」複合体ですから、この複合体を解くのに国民の了解は不要で、むしろ一部の市民と称する団体の人達からは歓迎されるでしょう。でも、寄らば大樹の大樹を倒せば、被害は自分にも及びます。悩ましいことでしょう。


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シラネアオイ

おはようございます。どんな理由があるにせよ、放射能をコントロールできない以上原発は廃止すべきと思いますが!!
by シラネアオイ (2011-05-25 07:27) 

ぼくあずさ

中国では今夏、原発略30基分の電力不足が報道されています。外国資本に多数の石炭火力を建設させ、石炭価格は高騰した今でも、売電価格を低く抑え、発電すればするだけ赤字が膨らむ状態。いずれ国有化するのでしょう。これも中国リスクの一つです。菅首相はF1の事故発生を、国有化のチャンスと考えたのでしょう。それには電力会社を破産させることが最初の仕事です。通信会社と違い、設備に莫大な資金が必要であり、しかも高騰を続ける燃料を消費します。電力各社は原発を止められ、電気料金値上げを事実上、認められない状態です。菅首相は東北救済・復興には無関心。延命と利権獲得に御執心。だが、嘘に嘘を重ねている彼も、悪運が尽きるまで、さほど日時はかからないと思います。否、それを望みます。
by ぼくあずさ (2011-05-25 07:35) 

ぼくあずさ

シラネアオイさん
御意見拝見しました。FI の事故以来、原発再起動が事実上出来ない状態です。 , ドイツは原発を止めると言いながら20年以上も運転してきました。豊富な石炭の産出国ですから、意図的に膨大なCO2排出枠を確保しています。政治的判断でメルケルは菅首相と同じく脱原発を宣言しました。現実には不足する電力を、フランスからの購入で賄う計画です。平地の多い地形でありながら太陽光発電は事実上諦め、大型海上風力発電に方向転換しました。オバマは脱原発を早々に諦め、原発30基建設計画です。それで、日本の反原発運動の行方、米国への波及を心配しています。米国民がドイツ人と違い、核アレルギーがありません。
私は原発の安全性確保は可能と考えています。他方、脱原発は日本が戦後貯め込んだカネが使える間は実現可能です。これには、日本が近い将来に中韓より低い二流国になることを国民全員が許容することが前提です。各地に暴動が起こり、外国軍隊の日本侵攻の危機が伴うと思います。それより以前に、自衛隊の北海道への再配備も行われるでしょう。
余りにも地球上の人々の暮らしが豊かになり、これは長く続くことはないと考えます。枯渇の兆候が出ている石油は投機対象になり、石油依存の発電は成り立たない、これが私の火力発電技術者として感じることです。

by ぼくあずさ (2011-05-25 09:38) 

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