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杜甫、李白を詠う -5/5 [稲門機械屋倶楽部]

                                            2011-05 WME36 村尾鐵男

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春日憶李白 杜甫

白也詩無敵   白(ハク)や 詩 敵無く

飄然思不群   飄然(ヒョウゼン)として思い群(グン)ならず

清新庾開府   清新 庾開府(ユカイフ) 

俊逸鮑参軍   俊逸(シュンイツ) 鮑参軍(ホウサングン)

渭北春天樹   渭北春天の樹

江東日暮雲   江東(コウトウ) 日暮(ニチボ)の雲

何時一尊酒   何(イズレ)の時か一尊(イッソン)の酒

重與細論文   重ねて與(トモ)に細かく文を論ぜん

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 李白よ、貴方の詩に敵う者はいない。自由で自然な発想は群を抜き、清新さは庾開府のようであり、俊逸なること鮑参軍のようだ。渭北の樹は 春の盛り、江東の日暮れは雲美しく、いつか一樽の酒を酌み交わし、もう一度、共に詩文を細かく論じたい。

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 「春日憶李白」の最後の部分には若干の注釈が必要です。 庾開府とは北周の詩人であって司徒も勤めた庾信(ユ・シン:513-581)であり、鮑参軍とは南北朝時代の宋の詩人であって前軍の参軍も勤めた鮑照(ホウ・ショウ:414-466)です。

 渭北とは長安を流れる渭水の北側との意味ですが、実は日本にも同じ地名があり、徳島県の渭北です。 室町時代に遡るそうですが、古代中国の水墨画に描かれた本場の渭北を見て、我が阿波の国にも同じように美しい場所があると知って渭北と命名されたそうです。

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  ところで、昔の中国には司徒、司空、司馬の官職名がしばしば現れます。 司徒とは田畑と土地、財貨と財務、それに教育を司る職名であり、司空は土地と民事、司馬は軍政を担当する職名でした。 これに大を冠した大司徒、大司空、大司馬はその部署の長官、即ち、今で言う大臣でした。


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