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中電浜岡原発の停止について [特別投稿]

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なぜ浜岡だけ?「逆風そらし」見え隠れ

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/disaster/505883/ 

という記事を読んで、こんなことを考えてしまいました。

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 確かに原発に放射能の危険は付き纏います。今回の福島に限らず、過去を見ても大小さまざまなトラブルがありました。

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 東海地震が懸念されている地域で、かつ浜岡原発の近隣にお住まいの方にとって、福島の事故は他人事ではないでしょう。原発の事故を未然に防ぐには想定外の災害にも耐え得る 何重もの安全対策が必要でしょう。だから「浜岡原発全面停止」を当然と 思う方も多いと思われます。

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 しかしこの要請は、今、唐突に発表するべき事柄でしょうか。思いつきを次々に口にして混乱を招いた一連の震災対策の 1つか、 何らかの悪計をもつこの発言が日本にとって、いや世界にとってどのように捉えられ、どのような影響が起こるか、国家元首として検討したのでしょうか。まさに想定外の発言です

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政治経済に疎い一般人がざっと思いつくだけでも

・電力不足

・経済の落ち込み

・反原発・脱原発運動の激化

・電力料金の値上げ

・米をはじめとした諸外国の反応

CO2排出量 の増加

といった懸念があります。

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 浜岡が全面停止することによって、中電エリアに夏の電力不足を生むおそれがあります 。中電は東電に電力をまわしていますし、関電の中電にまわせる余力は十分にあるので しょうか。

 中電エリアにはトヨタをはじめ日本を代表する企業の工場が多くあります。福島の事故の際の節電は、これらの産業に大きな影響を与えました。浜岡停止により 更なる電力不足が起これば、大きな経済的ダメージを生むでしょう。

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 政府の十分まかなえるという言葉に安心して、湯水のように電気を使っていればどうなるでしょうか。突然の大停電は大パニックを生みます。電気がなければ、 冷房はおろか、パソコンも電話も電車も ATM も生命維持装置も使えません。

 浜岡に続けと更なる反原発の市民運動の激化も懸念されます。現在点検中の 原発再稼動の困難化および、国内の全ての原発の稼動中止を求める 運動が日本各地で起こるでしょう。そうなると「東海地震を想定し、安全対策が完了するまでの期間限定の浜岡原発の停止」は「永久停止」になりかねません。しかも停止中の福島 4号機の事故を見てもわかるように「停止」と「廃炉」は全くの別物で、反原発派にとって「停止」は必ずしも安全なものではなく、当然「廃炉 」を求めてくるでしょう。廃炉になりかねないものに多額の安全対策の工事費を懸けることは納得できますか。その費用や、 原発を廃炉にすることによる費用はだれが負担するのでしょうか。

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 原発の代替電力の決め手を欠く、現在のエネルギー事情も忘れてはいけません。この期に及んで CO2削減25% を声高に叫んでいる元首相がいますが、火力への依存度が高くなれば、環境面に影響がでます。さらに、原油価格高騰の折、発電コストも上がります。国民は電気料金の値上げを容認できますか。まさか「東電の賠償金捻出のための値上げだから断固反対 !」ととんちんかんなことを言ったりしないでしょうね 。

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 自然エネルギーにも大きな問題を抱えています。風力発電の騒音は目に見えない被害があります。家庭用太陽光発電の設備コストの高額さもネックです。補助金の財源はそもそも税金から です。仮に、ソーラーパネルを屋根に載せたとして、当然、それで 100%自給自足できるものではありません。いつでも電力会社から電気が買える という保障があっての自家発なのです。そして機械ですからいつか寿命が来ます。コストパフォーマンスを考えたら、自分の屋根に付けることを躊躇してしまう方も多いでしょう。

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 不便でも安全が良いと思っている人に問いたいです。戦前のとまでは言わなくても、昭和30 年代の生活レベルに戻せますか?と。冷房も、ケータイもパソコンも、24 時間営業のコンビニのない時代に。特にバブル以降の生活しか知らない若い世代の方にとって昭和30 年代は、信じられない生活様式でしょう。

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  原発が自治体の重要な財源になっている御前崎市や静岡県の財政はどうなるのでしょうか。

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 1 ヶ月もない期間で、菅首相はどこまで考えての英断だったのでしょうか。関係する諸機関と十分に話合われたのでしょうか。 本気に考えているなら、正々堂々と国会で法的に手続きを踏むべきことです。 それらをしないで、首相のおこぼれ目当てのハイエナのようなイエスマンの取り巻きの意見ばかり尊重して、決めたことなのでしょうか。それとも、全く彼の独りよがりの発言なのでしょうか。まさか、首相自身の延命のためという、私利私欲のためのグッドアイデアというの ではないのでしょうね。


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村尾鐵男

どなたの投稿か存じませんが、全方位を網羅された見事な論評です。
私はかつて風力発電機の開発を試みて、1mx1mの風車でどれほどの発電量となるかを確めるための試験機を製造しました。残念ながら、風力は極めて不安定で、騒音に堪えたとしても、少なくとも日本の大半の地方で実用性が乏しいと判断して、量産型へ進むことを断念しました。
今、原子力を補い、将来は原子力の代替となるエネルギー源は何かと考えると、地熱と潮力であろうと考えます。地熱は国立公園内が多いので、それが妨げになっているとの論が多いのですが、だからこそ政府の決心一つで開発は可能であり、潮力は今度の津波のエネルギーを見れば、あれを放置しておくのは勿体無いと考えます。双方とも、既に基礎研究には着手していますから、白紙からの開発研究にはなりません。しかし、これも政府の決断に依ります。
本題へ戻ると、東海地震の向こう30年間の発生確率が87%だと首相が公言していますが、87%の根拠が示されていません。技術者ならずとも、確立数値は設定条件で如何様にも算出されることを知っています。地震学会が無言でいるのが解せません。もしかしたら、東海地震発生の確率はもっと高いのでしょうか。
以上、思いつく侭で恐縮です。
by 村尾鐵男 (2011-05-08 19:27) 

ぼくあずさ

まさに正鵠を射た御指摘と思います。電力の安定供給が保障されない
ことから、多くの工場は海外移転し、産業の空洞化が起こります。
by ぼくあずさ (2011-05-08 22:07) 

ぼくあずさ

シラネアオイさん、rtfkさん、裏・市長さん、Liveさん、xml_xslさん、アルマさん
投稿者より感謝の伝言です。
by ぼくあずさ (2011-05-10 21:00) 

ぼくあずさ

シラネアオイさん、rtfkさん、裏・市長さん、Liveさん、xml_xslさん、アルマさん、村尾さん
投稿者から、感謝の伝言依頼がありました。
by ぼくあずさ (2011-05-10 21:04) 

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